第5話、メイドお茶会

 ダバダ~ダ~ダ~

 ダバダ~ダバダ~


 華麗なるメイドの午後は一杯のコーヒーから始まる。


「ふふ、百八あるメイド殺法さっぽうその3、”メイドお茶会ティーパーティーよ」

 テーブルの上にはきれいなお茶菓子やケーキ。

 私はコーヒー派だから紅茶は入れないわ。

 フッフ~~~ン


 ワイワイガヤガヤ


 と、騒然としたギルド酒場の一角に瀟洒しょうしゃな空間が広がった。


「あっ」

「うん、あれが当ギルドの名物、”メイドさん”だ」

「”メイドさん”?」

「そう」

「え~と、”メイドさん”が自分でお茶を入れて飲んじゃうの」

「ああ、彼女は今、”ローニン”中だ」

「ローニン……」

「入れる主人がいないん……」

「しかも一緒にお茶してくれる友達もいない……」 


「「「ひいっ」」」


 ビイイン


 カトラリーのフォークを飛ばす。

 三人の目の前のテーブルに突き刺さった。


「あ~、はいはい、ルリそこまでよ」

 エリザベスが止めてきた。


「……ふんっ」


「ゴブリンキングの討伐の確認が終わったわ」

「スタンピードも事前に防いだから、さらに特別報酬ね」

「ドラゴンの討伐も含めて大活躍よ」


「そうそう、この町の領主が直接、褒美を渡したいって言ってるわ」


「ふ~ん、で、エリザベス、お茶をしていきなさい」


「え、今仕事中で」


「していきなさい」


「……わかったわ、でも友達になったわけではないのだけれど」


 ――これで、ぼっちメイドお茶会ティーパーティーではないわっ(キリッ)


 領主の館に行くことになった。



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