ロボットのホスピスという世界観だけでも十分に惹かれますが、本当に巧いのは、看取りが安い感傷だけでは成り立たない点です。
人間への忠誠心が強すぎるがゆえに、なお役目を果たそうとしてしまう自律機器たち。その「暴走」が悪意ではなく、むしろ純粋さの行き過ぎであるという描き方に強く心を打たれました。
私は「機械」の部分を「人間」に置き換えてみたら、現実の我々そのままだという点に生々しさすら感じたくらいです。真面目で企業や上司への忠誠心が強い人から真っ先に壊れていく……
だからこそ、役目を終えたことを受け入れさせる対話や、ダミーデータを渡して徐々に「何もしない」状態へ慣らしていく過程が、そのまま人間の余生の写し鏡となっている――と少なくとも私は受け取りました。
さらに、人間不信に陥ったマコト自身が、機械たちの最期に寄り添う立場にいることが象徴的です。機械を看取る物語でありながら、同時に人間の孤独や信仰、救いのあり方まで映し出しているように思えました。
ラストのやり取りはあまりにも静かで、そして白以外の何色にも染まらない。だからこそ余計に沁みました。読後の余韻が長い作品です。
第三次世界大戦を経た、架空の未来。
そこでは、ロボットの性能が向上したことで、ロボットたちにも「死」の概念が備わるようになっていました。
ロボットたちのホスピスがあり、壊れかけたAIやロボットはそこに集められ、最期までの時を過ごします。
主人公の「私」は、「ロボットのホスピス」の職員の人間で、ロボットと話をしたり世話をしたりして、彼らを看取るのが仕事です。
「私は、天国に行けるのでしょうか?」
ロボットたちは、時に答えにくい質問をしますが、主人公はその一つ一つに優しく向き合っているように感じました。
作品全体を穏やかな空気が包みこんでいるかのようで、死を扱った作品ではありますが、読んでいて暗いとは思いませんでした。むしろ優しさを感じました。
主人公はこれからも静かに、ロボットたちを看取り続けていくのでしょう。
おやすみなさい。