第25話
遼に電話をした。
呼び出しのコール音が聞こえる。
お願い、電話に出て。
お願い――
平日の昼間だから、わかってはいたけれど、電話はすぐに留守番電話に切り替わってしまった。
こんなこと留守電なんかに残せない。
無言のまま電話を切った。
着信に気がついたら、どこかで電話をくれるはず。
電話が無理でも、メッセージくらいはくれるはず。
遼の声が聞きたい。
どうしたらいい?
どうしてこんなことになるの?
ちゃんと避妊してたよね?
病院に行ってきちんと調べたら間違いだって言われるかもしれない。
どこか、家から遠くの産婦人科を探して……
スマホで検索していると「予期せぬ妊娠」と言う言葉が目に入った。
それで、そのページを開いた。
「避妊具の間違った使い方」というタイトルを読んで、ずっと出なかった涙が溢れた。
そんなの知らない。
学校では教えてくれなかった。
誰も教えてくれなかった。
責めるべきは、無知だった自分自身……
その日、遼からメッセージも、折り返しの電話もなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます