第25話

遼に電話をした。


呼び出しのコール音が聞こえる。



お願い、電話に出て。

お願い――



平日の昼間だから、わかってはいたけれど、電話はすぐに留守番電話に切り替わってしまった。

こんなこと留守電なんかに残せない。

無言のまま電話を切った。


着信に気がついたら、どこかで電話をくれるはず。

電話が無理でも、メッセージくらいはくれるはず。



遼の声が聞きたい。


どうしたらいい?


どうしてこんなことになるの?


ちゃんと避妊してたよね?




病院に行ってきちんと調べたら間違いだって言われるかもしれない。


どこか、家から遠くの産婦人科を探して……



スマホで検索していると「予期せぬ妊娠」と言う言葉が目に入った。

それで、そのページを開いた。


「避妊具の間違った使い方」というタイトルを読んで、ずっと出なかった涙が溢れた。



そんなの知らない。


学校では教えてくれなかった。


誰も教えてくれなかった。



責めるべきは、無知だった自分自身……




その日、遼からメッセージも、折り返しの電話もなかった。

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