第3話 むかごご飯

 炊き込みご飯作るか。その前にむかごの下処理をしよう。


 むかごについては山芋などの球芽と思ってくれたら話は早い。


 むかごは水洗いした後、ザルに入れて軽く擦るようにかき混ぜ、余分な皮を取り除く。これでOK。


 洗いすぎると風味がなくなるので、汚れをさっと流す程度に洗うのが大事だ。


 炊飯器に米を入れ、酒、醤油、みりんを加え、水を注いでよく混ぜ、むかごを加え、普通に炊く。


 あとは時間が経てば完成。ゼンマイ天ぷら、せりのおひたしと合わせて今日の夕御飯だ。


 むかごはホクホクとした食感がご飯に合うんだ。



         ◇



「でっ? スカウトだっけ?」


「はい。貴方は大魔導師様から直々にスカウトが来てるのです」


「いい加減飽きないね。あのおばあさんは。僕は野草を食べるのが生きがいで、その過程で魔法が必要だから覚えただけなのに」


「ダメですか?」


「僕としてはこの生活に満足してるからなぁ」


「そうですか……個人ごとですが、私は大魔導師様に『即刻連れてこい』と脅されてまして……」


「同情を誘ってるんだろうけど断る☆魔法とか微塵も興味ないもん」


「お待ちください! 私としては面目丸潰れになるんですよ! のこのこ帰ったらなんと言われるか!」


「知らないよ。勝手に怒られたら?」


「仕方ない。私は怒られないためにここに残ります! やってられるかです!」


 騎士さんはそう言うと、地面に寝っ転がって寝始めてしまった。


「開き直ったぁ!?」


 どうしようこの人。ここに放置しとく?


 いやでも放置したらモンスターに襲われたり、なんならまた行き倒れてそう。ほっとけないよなぁ。


 ひとまず僕のお家に連れて帰ろう。

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