貂蝉は宮中の華やかな環境とは違い、武将たちが行き交う董卓の居館に送られることとなった。彼女は、王允からの命を受けて董卓に仕えることとなる。だがその真意を知らぬ董卓にとって、彼女は単なる贈り物のように扱われた。

董卓は貂蝉の美しさに圧倒された。彼の乱暴な性格からは想像できないほど、彼女に対しての扱いは丁重だった。彼は彼女の存在を誇り、宴の席では貂蝉を傍らに座らせ、周囲の者にその美貌を見せびらかした。しかし、董卓は彼女の奥底に隠された静かな強さや冷静さに気付くことはなかった。

一方、貂蝉にとってこの生活は試練だった。彼女は幼い頃から宮廷で育てられ、礼儀作法や芸術に磨きをかけてきた。だが、この乱暴で酒に溺れる董卓の身の回りの世話をする日々は、彼女にとって心身ともに厳しいものだった。

ある夜、董卓が泥酔しているとき、彼は貂蝉を抱き寄せ、自らの孤独と心の弱さを吐露した。普段の彼からは想像もつかない、脆い姿だった。貂蝉はその姿を見て、彼が本当は何を求めているのかを少しずつ理解し始める。そして、董卓の心の奥にある傷を癒すための方法を模索するようになる。

貂蝉の姿勢は次第に董卓に影響を与え始めた。彼女の穏やかな声や気遣いによって、董卓は酒を飲む量を減らすことができるようになり、貂蝉と過ごす時間を楽しむようになった。しかし、完全に酒を手放すには至らず、彼の酒癖の悪さは周囲の者たちに依然として恐れられていた。

そんな中、董卓の勢力はますます強大になり、朝廷の権力を牛耳る存在へと成り上がっていった。だが、その裏では彼の弱さと酒への依存が次第に彼を蝕んでいく兆しが見え始めていた。貂蝉は彼の変化を信じつつも、心の中に不安の影を抱え続けていた。

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