第2話: 西涼の若き将
董卓は成長するにつれて、その才能を発揮する機会を徐々に得ていった。彼の故郷、西涼は騒乱が絶えず、戦乱の中で生き抜くためには武力と統率力が必要だった。董卓は自ら志願して軍に入り、その荒くれた兵士たちを率いることで頭角を現した。
軍での生活は彼にとって充実したものだったが、酒への依存はますます強まっていた。戦いの後、兵士たちと勝利の酒を酌み交わすたびに、董卓は己の力を誇示する一方で、内心の不安と虚しさを隠そうとしていた。彼にとって酒は、強さを保つための仮面でもあった。
そんなある日、董卓の部隊は大きな戦果を挙げ、彼は洛陽の朝廷から注目される存在となる。当時、後漢王朝は衰退し、十常侍と呼ばれる宦官たちが権力を握り、政治は腐敗の極みにあった。董卓はこの混乱を好機と捉え、西涼の外れで燻る日々を捨てて、洛陽に進出する決意を固めた。
洛陽に入った董卓は、その武勇と強大な西涼軍を背景に、たちまち朝廷内で存在感を示すようになった。さらに、腐敗した宦官たちを排除するための功績を上げ、権力を得る道を進んでいく。しかし、その強引なやり方は多くの敵を生み出し、彼を孤立させる原因ともなっていった。
同時に、董卓の元には一つの贈り物が届く。それは、美しい一人の女性――貂蝉であった。彼女はその気品と美貌を持ち合わせ、宮廷内で評判となっていた。貂蝉は董卓に仕えるため、王允の元から送り込まれたのだった。
貂蝉の登場は、董卓の人生に新たな波乱をもたらす。彼女を目にした瞬間、董卓はその魅力に圧倒されるが、同時に、これまで感じたことのない心の揺らぎを覚えた。酒に逃げる彼の生活に、新たな変化が訪れる兆しが現れようとしていた。
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