実録・■■■県警察学校通過儀礼
入学初日は
次に待っているのは断髪式ですね。丸坊主にされます。旦那さんが警察学校に収容され、初の週末帰省で唖然としました。それまでヘアセットに毎朝一時間もかけてたのに……。
ですが、実は警察官って坊主禁止なんですよ。なおかつ一センチ以上長くてはダメ。厳密に言うと、髪の長さは五ミリから一センチの間しか許されない、0,5センチ幅の世界らしいです。なのに警察学校内の床屋で問答無用でバリカンで刈られ(もちろん自弁)、そして当然のように規則違反で教官に怒られるという様式美。旦那さんいわく「どうしろってんだよ……」と。
髪を刈られる屈辱を味あわせられたうえ、理不尽を呑み込ませられ、プライドなどたたき折られて。そこから公僕としての洗脳教育が始まるわけですね。やはりプロは違うなぁと思ったものです。
ちなみに僧侶の剃髪は、今までの自分を捨てて仏門に入り、心身ともに清らかになって悟りを開き、人を救うという崇高な願いが込められているそうですよ。ちょっと警察学校の理念(あくまで理念)と通じるものがあるように思ってしまうのは私だけでしょうか。
これも通過儀礼のひとつでしょうが、「布団たたみ」なんていうのもあったそうです。
警察学校では、初日から決まった布団のたたみかたを徹底的に仕込まれます。そして、そのとおりにきちっとできていないと教官にこっぴどく怒られるのです。
刑務所でも「パジャマをきっちり真四角にたたむ」という洗礼があるらしいのですが、それですね。要求のレベルがミリ単位で、できるまで練習させられるそうですよ。と言っても目的はパジャマをきれいに畳むことでなく、スムーズな矯正のための事前準備としてまず心を折るのが目的でしょうから(※一個人のイメージです)、最初はどんなに精密にたたんでも絶対に難癖つけられて絶対怒られる。警察学校の無限布団たたみもそれと一緒なのでしょう。
しかし、社会人経験もある大の大人が、顔も口調も怖い大人に怒鳴られながら布団のたたみ直しをさせられ続ける地獄絵図……。
点呼から帰ってきたら部屋がめちゃくちゃに荒らされていて、皆、呆然……ってこともあったらしいです(もちろん教官のしわざ)。旦那さん、今となっては笑って話していましたが。
当時はドン引きしましたし、これだけ聞くとかなりやばい組織に思えますが、今思えば必要悪というか……。
警察学校の訓練のひとつとして、常軌を逸した怖い人に常に接することで慣れさせるという目的もあったんだろうなと。
犯罪をした人を相手にする仕事なので、恫喝・逆切れなんて当たり前、ときには暴力や武器で向かってこられる場合も多々ありますし、いわゆるやくざとか半グレと呼ばれるようなカタギでない方と接することもあります。ですが、そこで
そういった、技術や知識だけじゃ太刀打ちできない部分を鍛えるという意味で、教官の存在は職務上のなにより実践的な訓練だったのかもしれません。
また、ここで適性のふるいにかけるという意味もあると思います。実際に耐えられなくて辞める人も珍しくありません。旦那さんの同期四十人はいわゆる就職氷河期時代のしかも転職組で、皆、後がない。(お若い方、就職氷河期ってご存知ですか……。仕事がない暗黒時代があったのです。)そんな時代にあっても最終的には四十人全員は残らなかったそうです。
実際、旦那さんはどんな高圧的・凶暴な相手にもまあかなり平然としてます。元々、脳の偏桃体が壊れちゃってるのかなと思うようなところが多々あるので、適性があったのかもしれません。
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