第2話 英雄譚と同じ世界

俺はあのあと、街に向かって歩き出し、その町の名前を見ると愕然とした。

神転譚と同じく「シグリス」という町の名前が書かれていた。

俺は驚きながらも、その町へと入っていった。

町は大勢の人で賑わっていて、道には屋台がずらと並んでおり、人間だけではなく、動物と人間のハーフのような生き物もいた。

俺はとりあえず、この世界の常識的なことを探るために町を散策することにした。

どうやらこの世界は俺の暮らしていた世界と言語や通貨などにさほど変わりはないらしい。

俺は、頼る相手も、もちろんこの世界に知り合いなどがいるはずもないので、とりあえず、近くにある、魚屋のおじさんに聞くことにした。

「おじさん、俺はアイゼルって言うんだけど、遠い国から来たものでね、この国の常識に少し疎いんだ、一般常識ぐらいでいいから教えてはくれないか?」

おじさんはニコリと笑って俺の質問に答えてくれた。

「ここはラノティア王国の最南端の街、シグリスってんだ。この国では『モルス』って言う通貨を使ってるんだ。この国は、10年前までは平和だったんだが、1000年前に勇者様が撲滅させたはずの神へ歯向かう反逆者が10年前にまた力を持ち始めたんだ。今はこの国の20%の人が、義勇騎士として義勇騎士教会に雇われ、反逆者の撃退や宝物の収集なんかで生計を立てている。だがにいちゃんよ義勇騎士になるのはあまりお勧めしないぜ、いつ命を落とすかわからないし、義勇騎士になるぐらいだったら俺の店で働かねぇか?」

俺は店主のおじさんの誘いをやんわりと断り、話をまとめ始めた。

1000年前に勇者様が滅亡させたって神転譚の話と同じだ。

やはりこの世界と神転譚の世界の話は同じだと言うのか?

とりあえずおじさんのいっていた義勇騎士教会とやらにいってみよう。

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