たまにあるTips回 その3

 さて、今回はとある外れたものについて語ろうと思う。それは《深海Deepest》についてだ。最初の方以降ほぼ追加情報がなかったから忘れてしまっているかもしれないが、作者のお気に入りの一人である。ではオルカを紹介していこうか。




 ――――――




 オルカ(Orca)

:《深海Deepest

性別:女

年齢:2039歳

身長:151cm

髪色:藍色

瞳の色:藍色

服装:シンプルな灰色のワンピースドレス

他の特徴:背中に水晶の羽を備えている。


 上記通り、とても長いこと生きていて、とある願い呪いに縛られている。表情筋が死んでいるが、感情は乏しいなりにちゃんとある。

 オルカが外れたことで手に入れた力は、《外れたものの一切を否定する》である。詳細については、オルカを中心として球形のフィールドを展開し、内部の外れたものに関するあらゆる力が使えなくするという力。なので魔法も使えない。


 じゃあ、本編に出ない割にすっごく重い彼女の過去について語っていくとしよう。




 彼女はとあるが発展した国に生まれた。割と恵まれた境遇で当時の偉い研究者夫婦の一人娘であった。当時の最先端の研究所の所長とでもいえば伝わりやすいだろうか。彼女はそこで、とても可愛がられて育てられた。


 彼女は天才だった。齢10歳で論文を書き、科学の最高峰の賞へと選ばれるほどに。他にも、11歳の頃に大学博士を修了し、親の研究所で最先端の研究に携わっていたり、その間にまた別の論文でパラダイムシフトを起こしたり……、まあいろいろあった。


 そんな知識に富んだ彼女だったが、性格としては年相応の子どもであった。子どもの頃から本を読み漁っていたから対人能力はそんな高くなく、気弱で引っ込み思案だが、褒められれば満面の笑みに、叱られればしゅんとした表情になる。まあ、叱られることなんて数えるほどにしかなかったのだが。


 さて、そんな彼女が16歳に成長したときであった。とある研究者が革新的な論文を出したのだ。その論文は「外因子の作用について」というものだ。そう、である。この論文は急速に広まり、外因子の研究が一大センセーションを巻き起こした。


 そして、彼女の研究室も外因子の研究に乗り出したというわけだ。外因子は《外れた者》しか持っていないから入手が困難だったから、研究できる所は限られていた。その数少ない外因子を保有していたのが彼女の研究室だった。何しろ当時の最先端を行っていた研究所だったからね。


 外因子はどんどん研究されていってついには実用化までされた。多少の身体能力の強化と若干……いやほぼ誤差程度の寿命を延ばすぐらいしか効果がなかったのだけれど。それでもこの研究に人々の期待が高まっていったのが肌で感じられた。


 そんな中、彼女はこの研究には携わっていなかった。彼女にしては珍しく、が働いたのだ。それに、彼女が外因子とあまり相性が良くないのもあったのかもしれない。彼女が外因子に触れると何かが持っていかれるような感覚と共に脱力症状が出るのだ。まあ、そんな感じで時は過ぎていって、3年後のことであった。


 彼女は19歳の誕生日を迎えた。彼女は幼い頃から色々なものに暴露していたからか、あまり背が伸びなくて、親から可愛がられるのを気恥ずかしく思っていた。けれど、ツンケンして反抗するほど彼女は子どもではなかったから、その日、心の内に喜びを隠して誕生日会を楽しみに研究を続けていたのだ。


 そんなときであった、が起きたのは。それは、後にオルカが語るには”起こるべくして起こった、史上最悪のテロ”だそうだ。彼女の言う通りこれはまさしく予定調和というやつだったのかもしれない。


 その事件というのは、外因子の台頭を疎ましく思っていた研究員たちのクーデターである。それも割と倫理観を捨て去っている系の研究員たちによるものだ。彼らの開発をした兵器を用いて外因子の主要研究所を襲撃、研究員を惨殺した。その兵器には研究が禁止されていた化学兵器、生物兵器の類も含まれていたこともわかっている。


 彼女の研究室はどうなったか。……こういう結果というのは毎度惨憺さんさんたるものであると相場が決まっている。彼女の研究室を襲ったのは主に生物兵器、しかも殲滅力の高い”肉の塔”であった。


 肉の塔により親しかった研究員は殆どを取り込まれ、大好きだった両親は跡形もなくなるほどに溶解し、小さな肉塊と化していた。そのとき彼女は外因子の研究には関わっておらず、研究室の近くにいなかったため助かったが、肉の塔に取り込まれた彼らの姿を見て、絶望の縁に立たされた。


 しかし、とある一言が彼女を引き止めた。幸か不幸か、足が溶かされ逃げられなくなったとある研究員が言ったのだ。


「逃げて……。こんな馬鹿げた事に関わることはないよ。気に病まなくてもいい。何もしなくてもいい。ただ、逃げて、生き。」


 その研究員は最後の台詞を言い終える前に、肉に押し潰されてしまった。そこからオルカの記憶は何かに塗りつぶされたかのように途切れている。ただ、気がついたときにはどこかの森の中で一人倒れ伏していたということだけがわかってる。ボロボロの白衣を着たまま、何故か涙が止まらず、森の中に静かな水音が響いていたそうだ。


 その後、彼女が事を自覚し、オルカと名前を変え、何千年もの間、兵器や研究を守り続けて決して誰にも触れられないようにしたということだ。




 まあ、こんな感じですっごく重いんだよね。ここではこれ以上語ることはないからこれで終わろうか。




 ――――――




 お楽しみいただけただろうか。Tipsは楽するために入れているのに本編並みに分量があるとは此れいかに。まあ、いいか。


 それではごきげんよう。これからもご贔屓にどうかよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る