第3話 魔法の町の“エレジー“
森のさらに先に進むと、一つの異様な木を見つけた。
その木は、一本だけ、白色となる華麗な木だったのだが、その周りには、魔力と呼ばれる緑の“ファンタジア“が纏っている。
オリーブは、その木に袖の中から手を当てた。
『桜、この木に手を当ててみて、』
「、、、?」
私は、オリーブに言われるがままに、その木に手を当ててみた。
すると、
「これは、!
魔力が膨張していく、、、!」
私の持っていた魔力が、今まで以上、更に増えて私にもファンタジアが纏っている。
オリーブは微笑んだ。
『これは、魔法の町の入口かな。
分かる?』
「はい、存じています。
魔法の町、“エレジー“へと繋がる道です。
ここで、瞬間魔法を展開すればエレジーへと行けると思います。」
『、、なるほど。』
「私も行ったことはありませんが、本で読んだことがあります。」
『じゃあ、、行ってみようか。
エレジーに。』
私は、手に集中する。
木を壊さぬようにファンタジアを調節する。
そして、久しぶりに魔法を使う。
「〘 瞬間魔法〙」
目の前には、賑やかな町が広がっていた。
魔法で生成されたと思われる高価な家や、ポーションなどを売っているお店、更には、魔法の学校までもが、次々に広がっていた。
本で見たことのある世界だった。
『名前は忘れたけど、前に良くしてくれた魔法使いがエレジーに住んでるって教えてくれたことがある。』
『少し探索してみようか。』
私は、オリーブの後に着いて行った。
魔法が得意な私に打って変わって、オリーブはとても博識だった。
もしかしたら、魔法も余裕で使えるのでは無いかと思う。まだ、、分からない。
(お姉さん、ポーション居るかい?)
「、え?」
歩いていると、急に話しかけられて少し焦った。
ポーションには魔力が宿り、様々な性能を持っている薬品のことだ。
強ければ強いほど、副作用が高い。
「一つ、、頂けますか?」
(おお、いいね!)
私は、水のポーションを手に取った。
「この性能は?」
(水の中でも呼吸ができること、後、水攻撃が一切効かなくなるよ。)
手に取って見てみると、ポーションというのはとても綺麗だった。
『それは辞めといた方がいい。』
「、、え?」
オリーブが私の横に来てそう呟いた。
『水のポーションは強力故に副作用が酷く強い。
その副作用は致命的になる。』
「、、、」
『水のポーションは私も作れるから、副作用がないポーションを調薬してあげるよ。』
『そうだよね?売り場のお兄さん。』
(良く、、分かってるね。
この辺では見ない顔だけど、どこから来たの?)
『私達は、向こうの世界から来たんだ。
向こうにも魔法はあるけどそんなにも入通してないからね。』
(、、、帰った方がいいと思うけど。)
『何故?』
(第二王女様は、今、とても気分が損なわれているから、もしかしたら、殺されちゃうかも知れないからね。)
『、、、』
「第二、、王女様?」
(あれ?知らないの?)
(第二王女様、この町を仕切っている王女様だ。)
(大魔法使いの第二番目。)
《おい。お前ら。》
「!!?」
いつの間にか、背後にいた。
反応が送れた。
この人は、、まさか、、、!
《やぁ、、、少年、!》
『第二王女。』
「、え?!」
オリーブは、そう、口を開いた。
魔力も、気配も、ミリ単位しか感じとれない。
魔法を使う者で、オリーブ以外に初めてだ。
【第二王女様 お帰りなさいませ】
気がつくと、町に居た全ての魔法使いが片膝を着いて頭を垂れていた。
《お前らは、見たことがない。》
「、、、」
《そんな緊張するな。取って食ったりはしないと言っただろう?》
「私達は、、向こうの世界から来ました。」
息が、詰まった。
少ししか感じないこの気配。
だが、その量その質は膨大で、目の前にいるこの女性の魔法使いとしての質を表していた。
《向こうの世界、、か。》
《興味深い。》
《私の城に招待しよう。》
「、、、」
《、、、w》
その城は、とても広かった。
赤いカーペットが玉座に向かって綺麗に敷かれていた。
その上を、第二王女は髪をなびかせながら歩いてゆく。
白く、巻かれている髪が、綺麗に靡く。
《ようこそ。我が国“エレジー“に。》
その玉座に座った瞬間、膝から崩れ落ちてしまった。
冷や汗をかいた。
今、私は片膝を着いて頭を垂れている、、私の意志とは関係なしに、、何故だ。
そして、何故オリーブは、私と同じようになっていないのか、、、、。
とても、、不思議だった。
《君らは、エレジーに何をしに来た?》
《私の国に、何の用だ。》
「、、、大魔法使いに、逢いに来ました。」
《ほう、、、大魔法使いに、、か。》
「詳しく、聞きたいのです。
大魔法使いについて、、魔法について。」
《なるほどな。
深くは聞かないが、お前らが求めるようなものはここには無いだろう。》
「、、、?」
《見ての通り、ここには私、つまり、大魔法使い第二位しか存在していない。
大魔法使いの順位は、五位までで、あとの四人は別の場所だ。》
「後、、4人。」
「その四人は、今どこに居るんですか?」
《さぁな。私が知っているのは、第四位の居場所だけだ。
別に、教えないという訳では無いが、お前らにはまだこの街にいて欲しいからな。》
《条件がある。》
「条件、、ですか?」
《来週行われるエレジー独自の競技、、
“魔法向上競技祭“にお前ら二人が参加し、どちらかが勝ち残ったら居場所を教えよう。》
「魔法向上競技祭、、聞いたことがあります
魔法を駆使し、勝者を決める、、尚、敗者は死んでも責任は問われない。」
《ああ。その通り。》
「、、、」
《勿論、そこで死ぬ可能性だって存在する。
だが、どちらかが上に行けばいい。簡単だろう?
参加するのはどいつも魔法に自信がある奴ばかり、、》
「、、」
《その日その日でやる種目は変わっていく祭りだ。》
「それを、、勝ち抜けと、、?」
《何ら難しくは無いはずだ、、お前らの魔力量を見ればわかる。相当な手練だろう。》
「、、、。」
《どうする?やるか、、、やらないか、、、。》
《、、ww》
「私は、、やります。」
《、、w
そちらのお嬢さんは、?》
『、、魔法、、か。』
『遠慮しておくよ。』
《!?》
『魔法は、、生憎と苦手でね。』
《、、、なるほど、?》
《では、そちらの魔法使いだけでいいのだな?》
「、、オリーブ。」
『いや、、問題は無いよ。
桜は、勝ち残れる道が見えている。
そうだろう?』
「、、はい。魔法は得意ですから。」
《まだ時間があるだろう。ゆっくりして行くといい。
特に、この城の屋上からの眺めは最高だ。是非見てみるといい。》
「ありがとうございます。」
『ごめんね。桜。
私はやることがあるんだ。先に行っててくれ。』
「、、、?」
『大丈夫。直ぐに行くよ。』
「、、、」
私は、そのオリーブと言う魔法使いに視線を送っていた。
《ここに残って、私に何か用か?
お前を見ていると、前に居た旧友を思い出してしまうんだが、、。》
ああ。そうだ。
こいつは、アイツによく似ている。
人が話している時には、一切会話に参加せず、、ただただ見守っている。
だが、その裏腹では全てを見透かし次の行動を考えている敵に回したら非常に厄介な者。
《ほんと、、思い出すなぁ、、。》
そういえば、なぜ私が玉座に座った時にこいつは頭を垂れなかった?
なぜ、、膝を着くこともしなかった?
もう1人の方はしていた、だが、、こいつはなんで、、どういう魔法使いだ?
『久しぶりだね。第二王女。』
《、、は?》
『私はオリーブ。ただの旅人であり、魔法使いだ。』
《私の記憶に、、オリーブという魔法使いは存在していないが、、、、いや、、まさかな。w》
『、、、w』
《アハハハハハハ。なんだ。そうなのか。ww》
《ほんと、、馬鹿馬鹿しいな。》
《久しぶりだな!“ドール“!》
『今はオリーブなんだけど、、まぁいいよ。』
私が知っているドールの姿とは、まるで別人だった。
私がドールと出会ったのは、向こうの世界で、私がまだ女王に着く前だった。
詳しくはまた後日になるが、向こうの世界からこちらに来る時、森にある一本のヒノキに触れて来るのだが、弱い魔法使いになると記憶が一部飛ぶ。
私がここに来る時にはまだ弱かったから記憶が曖昧で、直ぐに気づけなかったが、やはり、ドールなのか。
《それで?
わざわざ2人に残ってなんの要件だ?》
『魔法向上競技祭についてだよ。』
《、、ん?》
『私が前に参加した時は、死人がおよそ400名、参加者は約1000名だった。』
《ああ、そういえばそうだったな。》
『今回は私は参加しないが、桜が参加する。
覚えていて欲しいことが一つだけあるんだ。』
《、、、》
『桜を巻き込まないでね。』
《それは、、忠告のつもりかい?》
『ああ、そうだね。』
《ドールは何故参加しない?お前が居たら負けることも無いだろう?》
『だから言っただろう、、私は魔法が苦手なんだ。』
『それに、私はこの国で確認したいことがあるからね。』
《確認?》
『別に、大したことじゃないけど、まぁ、、
桜は死なせないよ。その為なら、私の命を掛けるからね。』
《、、、》
『じゃあまた。』
《ああ、、やっぱりその姿が似合ってるよ。
ドール。》
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