第2話 魔法を操る者
オリーブは、いつも手を出していなかった。
ただ、あの時、あの、花をあげた時だけ、君は手を出して、差し伸べた。
君の瞳は特別だった。
だけど、私でも分かるほどの莫大な魔力は、空一面に広がっていた。
『この森は、少し異常かな、、』
「、、?」
オリーブは立ち止まって私の方を覗いたと思ったら、私の後ろから何かが動くような音がした。
『ほら、魔力を持つ森だね。』
『〘 、、、〙』
オリーは、じっとその動く気を見つめた。
すると、その木は次第に大人しくなっていき、オリーブはまた前を向いて歩き出した。
『桜も気をつけてね。』
「、は、はい、、。」
『、、なんて、、、ね、』
『言ってる間にお出ましだよ。』
「、、え、?」
私のすぐ横で、風を斬る音がした。
それと同時に、複数の金属音。
横には、オリーブの顔があった。
(何の用だ。私の森に。)
振り向くと、木の上に立っている女性を見つけることが出来た。
その女性の手には、ナイフが握られていた。
やっと、私は彼女にナイフを投げられたのだと気がついた。
でも、何故オリーブの姿が私の横に。
『、、ww』
オリーブは、空を舞った。
桜が認識出来ていないほどの、速度と、、有り得ないほどの理解力で。
((早い、、。何者だ。こいつは。))
そのまま彼女はナイフを構えた。
だが、構えた先にはオリーブは居なく、
(お前は、、何者だ。)
オリーブは、彼女の構えたナイフの上に軽やかにたっていた。
まるで、音もしなかった。
『この森の主、あるいは、操っている者かな?』
『私達は、魔法使いに会いに来た。』
『この森からは即刻出ていくから、場所を教えて欲しんだ。』
話しながら、彼女はオリーブが乗ったナイフを振り払ってオリーブを落とした。
オリーブは、慌てる様子もなく、ただ、彼女の目をじっと見ながら桜の前に宙に舞ってから着地した。
『桜、怪我はある?』
「な、無いです。オリーブは、?」
『大丈夫だよ。』
(、、、)
『教えてくれるかな?』
(、、、なんで。)
『、、、w』
(なぜ私に逢いに来た。)
(応えろ。人間。)
『、、w』
『この森からは、貴方以外の魔力も沢山ある。
貴方は、一体どこの階級かな?』
(、、なぜ、、そこまで知っている。)
(この森は、周りからは普通の平原だ。人避けもしてある。
何故、お前らはこの場所に入ることが出来た。)
『、、、w』
『魔法使いが居るからね。』
「!?」
桜は目を見張った。
それは、紛れもなく、オリーブの放った言葉にだった。
「「なんで、私が魔法使いだと知って、、
まだ、オリーブには何も、、何も言ってない」」
(、、、、魔法使いだと?)
『さぁ、次は貴方が応える番だ。』
『君はどこの階級で、なぜ君は(私の森)と言ったのか、、』
(、、、。)
(聞きたいことは山ほどある。
だが、まあいいだろう。)
(私の階級はランクA、上から二番目の階級だ。)
(そして、この森は。)
(魔法のほんの入口に過ぎない。
私が認めた魔法使いだけが、この先の世界に行くことが出来る。
そこは、異世界と言っても過言じゃない。
この世界よりも、魔法が流通していて、普通に生活もしている。)
(お前らのような魔法使いは、私の記憶の中に無い。)
「、、、。」
「どうしたら、通してくれるんですか」
(普通なら、招待する者にしか通さない、、。
だが、私はお前らに興味が湧いた。
私に勝ったら、ここを通してやる。)
(だが、まずは私の質問に答えろ。)
『ええ、、。』
『何なりと。』
(この森に来た者は私が記憶している。
そこのやつはともかく、先程からオリーブと呼んでいるやつの姿は、私は認識したことがない。)
(何故、お前はここに来ることが出来た。
いや、この場所をなぜ見つけることが出来た?)
『、、なるほど。』
『、、、w』
2人の視線が交差した。
全ての木が揺れに揺れている。
オリーブの髪が、綺麗に靡く。
その静寂を壊さぬように、オリーブは淡々と口を紡いだ。
『私は、私の生き方があるんだ。』
『貴方がこの森を愛するように、私も哀するべきものがある。』
オリーブは、強く地面から踏み込んで、高く舞った。
森が激しく揺れる。
そんな中にオリーブは華麗につま先だけで立ち止まった。
そして、少しの笑みを零しながら、彼女と目を合わせて質問に答えた。
『強いて言うなら、、魔力を感じ取ったからかな。』
『ほんの少しでも、外に魔力が漏れているのなら、それもそれで、弱点となる。』
一斉に、全ての木がオリーブ目掛けて伸びていた。
『、、、w』
(じゃあ、その弱点は、自分もあることを忘れるなよ。)
彼女の不敵な笑みと共に、オリーブの周りを木が襲った。
普通なら、その時点で焦るか、避けるか、、。
だけど、そんな状態でもオリーブは。
『、、w』
『さぁ、次はどこから来るだろうか。』
私は、杖を取り出していた。
なぜ、オリーブが私のことを知っていたのかは疑問であるが、それ以上に、なにか役に立ちたかった。
そして、私は魔力を溜める。
私の得意な唯一完璧に出来ること、、それは。
「〘 一斉攻撃。〙」
(何ッ!?)
(魔力が完全に無くなっただと!??)
『...ww』
「援護します。役に立ちます。」
「私の特技は、魔力を完全に遮断することです。」
「私は後ろから、、」
___じゃあ___
そこに、オリーブの姿は無かった。
だが、、、
(!!?)
((重い、、重すぎる!!!?
一体何なんだ、、これは、!
まるで、、空気と戦っているみたいだ。))
『私は正面から。』
その瞬間、彼女は後ろに吹き飛ばされた。
私の目には何も写っていなかった。
だけど、オリーブが着地してきたその時、全てが分かった。
周りの木達が、全部、倒れている。
私も攻撃魔法を放ったけど、これほどまでの威力じゃない、
だったら、、、
『、、、』
だったら、オリーブが何かをしたということだ。
とても、信じられない。
だって、目の前に起きたことは、ただ、私の目の前をオリーブが舞って、彼女が、回避行動を取ろうとした、そんなことだけだったのだから。
これは、魔法なのか、、?
はたまた、、、
オリーブは、静かに目の前に魔法陣を作った。
そして、彼女をこの場へワープさせた。
(ゴホッ、、ガハッ、。)
(はぁ、、、ハァ、、。)
(な、、何をした、、、!)
((なんだこれは!?回復魔法!?))
『気に入って頂けたかな?』
『生憎と、私は魔法があまり得意では無くてね。』
『ささやかな準備運動だよ。』
(、、、)
おいおい、、、。
冗談だろ、、、?w
(はぁ、、、いいよ。もう。)
(完敗だ。)
(この先の道を進め。
そうしたら、街に出れる。)
『ありがとう。』
『、、、』
オリーブは、不意に立ち止まった。
(、、、?)
「、、、。」
『、、、w』
その瞬間、オリーブは手を広げた。
足元には、魔法陣が幾つも幾つも並んでいた。
そして。
(!?)
「?!」
勿忘草〖ワスレナグサ〗が、この森一帯に舞っていた。
その華は、全ての森を包み込むように、静かに、また、色褪せていて。
オリーブの瞳が、靑く儚く映り込んで。
『拝啓_この華を_』
『華言葉は“真実の愛“
この森 この世界の全ての物に。』
『、、w』
『私からの、囁かなお詫びです。』
(、、、、)
(おい、お前は桜と記憶しているが、)
「はい。桜は私の名です。」
(じゃあ、、、教えてくれ。)
(本当に、アイツは何者なんだ、、、?w)
倒れた木々が、一斉に元に戻っていった。
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