第10話 美女と魔法と拳銃と
ロペは宿へ戻ると、引き際かもと室内に干した洗濯を鞄に押し込んだ。階段を上がる靴音が聞こえたので、窓を覗いたところ、下のバカが発砲してきたので隠れた。
「わたしは昨夜ここに来たのよ。あんたたち誰なの?」
「保安官事務所だ。抵抗せずに出ろ」
「罪は?」
「村でデズの身内を殺した件だ」
「あら」文句は言えないな。
宿主が扉の鍵を開いた。
ロペは両手を上げると、事務所まで連行された。食堂に入ろうとしたら巻き込まれただけで、撃ったことは認めるが、弾が当たったかもわからないと話した。
「てめえは運がいい」
二人のうち一人がニヤついた。
「保安官が戻る前がいいわ」
「今夜は戻らんよ」
バッジをしたヨセフが現れた。二人を撃ち殺した。牢から出されたロペは書類と天使の銃を渡された。
「身内から預かってきた」
「身内?」ロペは老人から近づいてきたことを思い出した。「まさかデズのこと内偵してたの?」
「二人も一味だ。おまえさんのおかげで片付けられそうだ」
発砲を聞きつけた連中が駆けつけてきたが、ヨセフはバッジで黙らせて保安官へと案内させた。
「やけに厳重だな。敵が多いのか」
「保安官、女は出していいんですかい」
善良な市民ではない方が後ずさるのが見えたので、ロペは振り向きざまに早撃ちで二人を倒した。
「奴は強盗犯だ。おまえらは銃を置いて失せれば見逃してやる」
結局、ロペとヨセフはデズのホテルの二階に忍び込むと、出くわした保安官のこめかみに銃口を押しつけた。
「よく見て。三年前にウラガタで強盗をしでかした」
「俺を捕まえてもムダだ」
「死ぬ?」とロペ。「すぐにデブデズの逮捕状は発行されるわ」
「撃つな。俺だ。保安官だ」
デズの仲間がロペとでかい図体のヨセフを見て撃ってきて保安官は死んだ。撤退しながら応戦した。二人の腕が良くて隠れられるところに隠れられたとしても、下手くそでも人数の多い連中には敵わない。
「弾ないのよね」
「じいさんから預かった。純正だそうだ」
「三発なの?」
ヨセフは窓から庇に飛び降りて地面に転がった。ロペが踊り場で撃ち込んだ一発は応援に駆けつけた一味の脳天を貫いて、跳弾のように跳ねて他の五人を倒した。弾が暴れている間に現場から逃れた。迎撃するヨセフを追い抜いて、賞金は請求するからねと宿で押し込んだ荷物を積んで街を出た。今はシュミットのくれた拳銃と弾は使うには怖しすぎた。
「ったく。使いこなさないと」
朝日の中、ラバに呟いた。
ガン・ファンタジア 魔法世界のガンレディ(お師匠様シリーズ) へのぽん @henopon
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