第4話 魔法使いの天使の銃
「勘弁してくれよ。森を根城にしてるんだ。俺らも商品を盗まれることはないんだけどな」
「姉ちゃん、話したのか」と他の商人が割り込んできた。「わしらは見られてるだけなんだがな。通行料は払わなくて済んだのか」
「払うの?」
あれだけの人と銃を置いてきたのだから通行料以上払わされている気もしないでもない。
「村の奴らは捕まえるとか。土地を奪い返すとか何とか話してた」
「奪い返すか」禿げた頭で思案した。「村の奴らもあくどいことしてるだろうからな。昔のことだぜ。いただき。だから裕福なもんだ」
商人はショットグラスをチビリとしてまずそうに顔を歪めた。
「もとはデズ一派があちらこちらの村を襲撃したんだ。デズってのは次の街だ。デズ一派の街でな。戦争が起きてからこっち森の戦士とやらも増えたな。通行料で済んでるからいい」
「皆さんリスクあるのに村へ行くのね」
「ここから集団で移動するるんだ。南へ行くほどリスクがある。もうちいと人数が欲しいから待ってるんだよ。酒飲みたいからじゃないぜ」
ロペはカペルを一枚置いた。
「ところで弾持ってる?」
「ここに二つあるぜ」
「撃鉄で叩いていい?」
弾丸を持っている商人がいたので、そこそこのクオリティの弾を補充できた。拳銃に弾を入れ、得体の知れない弾は商人に預けた。
「無印よ」
「村に行けば二束三文でもさばけるさ。連中、姉さんみたいな立派な銃を持ってるわけでもねえしな」
「いいでしょう?」
「伝説の天使の銃か」
「たぶんイミテーションよ。使いやすいから使ってる」
「本物の天使の銃なら、高く売れる」
「呪われるとも言われてる。大魔法使いが誰にでも魔法を使えるよう作った」
「確かに呪われてるかもな」
「厳しいお言葉で。わたしも身の丈に合う銃にしときゃよかったわ」
「それは無印じゃない。デズ一家へ売る品の一つだ。内緒だ」
「稼いでくれた?」
「もちろんさ。いくらべっぴんさんでもな。母ちゃんに叱られるわ」
「うまいこと言うわ。お釣りはみんなで飲んで。じゃまたどこかで」
ロペは笑いながら銃をホルスターに戻しながら、店を後にした。ロペのラバは馬の真ん中で堂々とわらを食んでいた。
「おまえは強いな」
手綱を引くと、他の馬にガンを飛ばすように着いてきた。気性が荒いとは思うが、なかなかの兵だ。どこかの闘将の山越えでも手伝ったのではないかと思えるくらい強い。
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