後編-①

「走ってメル、戦火はもう拡大を始めています」

「ちょちょちょ、戦力は十分足りてるんでしょう?」

「ぶリーふィングルームのデータをはックしました。敵の量産機が想定以上に強力なようです」

「お得意の電子戦ってやつね」

「私ハ特注品の専用機なので……つて冗談を言ってる場合でハありませんね。次の角を右に曲がって」


監視カメラをリアルタイムでハックして、メルが映らない最適なルートをはじき出す。使命回路が早く助けに行けと耳元で騒ぐ。


「新型ってそんな強いの」

「単体で強いか不明ですが、数が多いようで倒してもきりがないようです。どうやらぱイロットの乗っていない、完全自立型AIが操縦する兵器だそうで」

「それって、もしかしてアンタの……」

「完成品というわけです」


メルメがハンガーにつく。私も自分のジェネレーターに火を入れ、武器のセットアップを行う。


「準備はできてる?」

「コクピットの中まであったかいですよ、行きましょう」

「了解。エクス、Go!」


ハンガーの扉を蹴り破り、宇宙へ駆ける。


「ありゃ、これ弁償もんだよ?」

「どうせ戦争の報奨金で支払えます。今ハ一刻も早くグリッドヘ」

「りょーかい!」


<月光>が月を背に飛び出す。今度こそ、私は自分の大切な人を守るのだ。

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