瞬きの赤

夏桜

第一話

ソラの村は、平和である。


優しい人々、穏やかな天気に美しい自然、ソラは大変充実した生活を送っている。

友人たちと通りを走り抜けたり、買い食いをしたり、時には先生に文字を習ったりするのが楽しみなのだ。


今日は、家族で二つ山を越えたところにある祖父母の家へ行く日だ。

二人は長年の仕事の影響で体の様々なところが弱っているらしい。


都市部の方にはクルマ、なんていうものがあると先生が言っていた。

「とっても早くて、座っているだけで移動できるんですよ」

なんて言ってたっけ。


パンや、服を持って行ったあとはすぐに帰る。

夜の森は、何が出るかわからない。

ソラの村では、屈強な大人でさえ夜に外へ出るのは禁じられていた。

子供たちは、そんな話を聞いてあふれてくる好奇心を閉じ込めて、おとなしく床に就くのであった。


夜が明けると、また朝焼けが窓から差し込む。また一日が始まる。

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