第2話 一目惚れ

 まさかの発言に場の空気はシーンとなる。

お前何言ってんだ?という目で勇者一行と魔王は

エリザローズを見ていた。


 「お前、何言ってんだ?」

あ、猫耳の生えた魔法使いが口を滑らせてしまったようだ。


 「あなたが勇者ね?」


 赤いヒールを鳴らし歩いてくるエリザローズに

勇者達は一応警戒体制を取る。


 「わたくしと、結婚してくださいっ!!

超好みなんですっ!!」


 エリザローズは膝をつき勇者の手を取り恍惚とした表情を浮かべた。普通男側がするものなのだが。


 「は???」

 勇者、グレオルはただエリザローズを見つめるしかできない。


 「ち、ちょっと!エリザ!

お父様のお手伝いしてくれるって言ったじゃんっ!

結婚って! どういうこと!? 」


 魔王は驚きすぎて素が出てしまっている。


 「エリザ……」


 グレオルはハッとした表情を浮かべて

手を引っ込める。


 「聞いたことがあるぞ。

魔王の娘、エリザローズ。

お前は、王国一の魔法使いをも殺し、瘴気を発生させ人々を苦しめた!!更には俺の師匠まで……。


 そうやって油断させたところを殺すつもりだな!

その策には乗らないぞ!!」


 「そうよっ!わたし達の師匠まで殺すなんてっ!!許せないわ!」


 傾国の美姫と噂の聖女が

聖魔法を発動しようと聖杖を構えるがその瞬間爆発音と共に聖女達が消えた。

城が半壊し、青空が見渡せる。


 魔王はもう呆然と半壊した自分の城を見ているしかない。修理費用だけが頭を駆け巡っている。


 「さてと、邪魔者もいなくなったことですし

ゆっくりとお話ししましょう?勇者様♡」


 この日、勇者の悲鳴が聞こえたとか

聞こえていないとか。

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