第5話彼女の願い

音声メッセージの最後、彼女はこう続けた。


「それでも、私がここまで頑張れたのは、皆さんのおかげです。

皆が私のために描いてくれた絵や、書いてくれた言葉は、すべて私にとって宝物です」


一瞬、彼女の声が柔らかくなった。


「私が配信をすることはできなかったけれど、みんなが私を作ってくれました。

私の存在を、みんなが生み出してくれたんです」


画面の中の音声が、まるで俺に直接話しかけているようだった。


「だから、私はもう一人じゃありません。これからも、どうか笑顔でいてください。みんなの幸せが、私の願いです」


その言葉が最後だった。

音声が終わり、俺は画面を見つめながら涙を流していた。

彼女の存在がどれだけ多くの人を救っていたか、ようやく理解できた気がした。

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