人の縁って、どこでどうなるかわからないし、できるだけ大切にしたいなと思いました。
福原もも子は、拾った猫を飼い主のもとに返すことになった。その時、猫を自分と同じ呼び名で呼ぶ飼い主と会い、そして知る。飼い主の少女の父親は、もも子の学生時代の友人、渡邉だった。猫を拾うことで、繋がる偶然。その出来事が日々に疲弊した主人公に伝える。過ぎた日に片想いしていた友人も、自分への思いがあったことを。思い出に点った温もりが、読む者へも伝わる。そんな穏やかで優しい物語。猫の繋げた関わりが、主人公をより良い未来へと繋げてほしい。そう願いたくなる作品です。
描写はとりたてて詳細でない。行間を読ませる書き手さんという印象をもちます。普通の人を、普通の日常を、普通の会話を、淡々と描写する筆者。こういうドラマいいじゃないですか。静かに、優しく、心温まるストーリー。引き込まれました。
37歳の非正規職員である福原もも子は、年下の彼氏に捨てられた後、ある日、帰宅途中に猫を拾います。この猫との出会いが、彼女の人生に新たな光をもたらす――そんな物語です。