コピーキャットではなく関連性さえ怪しい眉唾なオマージュ

 双方とも一切レスがつかなかったのは自己完結のせいばかりではあるまい。この小説と何の違いがあろうか。あるまいて。文学というものは手段の違い程度で内容が根本的に覆るほど貧弱なシステムではないのだから。思えばインターネットと文学の発展の歴史ほど似通ったものはない。権力者階級による軍事目的から編み出されたはずが一部の好事家らによって変遷を遂げ大衆の共用財産として幅広く認知される一方で閉鎖的な環境を好むマニア層との情報格差は縮まることがない。まあ待ちたまえ工藤君。執筆手段の変化が作品内容に影響を与えないはずがない。言語と文化が不可分の関係にあることを『指輪物語』でトールキンが提示してみせたことをご存じないのか。漢文に端を発する当て字が今やヤンキーのメンタリティを体現せしむるのは如何なる理屈によるのか考えてみたまえ。我々は書くために読むばかりではなく読むためにこそ書くべきなのだ。本を読んでいると他の発想が出てくる。コピーキャットではなく関連性さえ怪しい眉唾なオマージュ。読書なら途中で止めてメモをとることも容易だが舞台や映像に集中しつつ思索を巡らすのは至難の業だ。ともすればインスピレーションの源を自ら拒否してしまいかねないのだから世話が焼ける。インプットを怠りアウトップに執着するなんてみっともないったらありゃしない。この作品だって一応はいろいろ読んできたからこそ書けるんだ。書かれていることが仮に間違いだらけだったとしても大きな問題ではない。誤りは全てフィクションだと思えばいい。別に学術論文を書いているわけではなくこれは文学なのだから。文学者が現実に起きていることに言及しなくていいのかなんて愚問は止し給え。文学は現実に起きているのだ。報道される現実に何の意味がある? 個人にとって大切なのは日常だけだ。日常とセカイが地続きであろうとも関係ない。いかに人間の内面を曝け出せるかが文学の担う使命だ。外面を繕うことが最優先の浮世を描いたところでどうする。外面が内面を反映しているというのならとっくに世界は平和なはずだ。わかりあえないからこそ争うのだろう。虚空に向けて書きつづける作者と虚空を見つめつづける読者の間には何の因果関係もない。そこにあるのはただ物質としての「本」だけである。それを介して交流するかのように感じられる作者と読者の意識はあくまでそれぞれの内面を形成するのみで決して混じり合うことはない。そもそもこれがフィクションかノンフィクションかなんてことは元々どうでいいのです。嘘の中に真実を見つけても意味がない。じゃあ全部フィクションかというと決してそういうわけではなく全てが嘘であるとともに一切がっさい真実ばかりだと言うこともできます。本当の事しか書かないのと嘘しか書かないことは全く同じなのです。そんな無茶苦茶なという意見もあるでしょうか。しかしここで知覚できるものが完全に何もない空間というのがあると仮定してください。それは同時に知覚できない何ものかによって完全に満たされている空間と言い換えられますよね? この作品の登場人物は作者と同姓同名の工藤伸一だけですが、だからといってすなわち彼が作者と同一人物であるという証拠にはなりません。ドラゴンクエストの主人公に自分の名前をつけたからといってプレイヤーと主人公が同一人物でないのと同じことです。しかしそれは受け手側のことであって語り手の場合はやはり同一人物ということになるのではありませんか? この際むしろ誰が語り手で誰が受け手かなんて立場はさしたる問題ではないのです。筆者がこの作品を書いたのは事実であり読者がこの作品を読んでいることは疑いようもない事実です。自分がどちらであろうとも作品の内容は同じです。作品は作者のものでも読者のものでもなくただそこにあるだけなのです。それを誰がどう捉えようといいではないですか。しかし作品が完成するまでの間は筆者は架空の読者に向けて書くしかないのですから作者はあくまで作者でしょう? 読者にとっての作者もまた架空の存在です。なぜなら作者が書いていない作品を読者が読むことはできないし読者が読んでいない作品を作者が書いたかどうかは読んでみないことには確認できないからです。架空の作者が書き架空の読者が読むからこそ本来はわかりあえないはずの他者同士が本当の意味でコミュニケーションできるのです。あらゆるテクノロジーは人間の拡張機能として働く道具です。しかし小説は道具ではありません。人間そのものだからです。蔵書をご覧なさい。そこにあるのは物質としての本ではなく他者としての作者の内面そのものではありませんか。我々が実際に他者と接するときどんなに多くの時間を費やして会話しつぶさに観察しもしくは触れ合い抱き合い舐めたり吸ったり頬張ったりしてみたところで他者の内面というものを自分の内面に置き換えてせいぜい察することしかできないはずです。それはたとえばインターネットでやりとりする場合も同じです。特定の人物を想定して発せられるメッセージはあくまで発言者の外面の一部に過ぎません。しかし不特定多数の架空の読者に投げかけられる小説というシステムは一方的にならざるを得ないがために作者の内面をダイレクトに他者に伝えることが出来る唯一の手段なのです。だからこそ小説の愉しみは背徳的であり時に辛いものなのです。星が瞬いて視えるのはオゾンの恩恵に他ならず宇宙空間で直接視るものではないのと同じことです。だからこうして奇跡的に加護を受けた大地に犇めく我らの隣に寄り添うのはたとえばめくるめく朝露の調べの如く素敵です。今これを読んでくれている君が天文学的確率の偶然を重ねて同じ時代に生きることを誇りに思う。言語の誕生以来つづいてきた唯一の書き手の責務として夢のような瞬間を君に贈ることを今ここに誓おう。bv、。、こ99r、3、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、

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