第47話
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイっっ!!!!
あの他大陸の2人組が、あんなヤバイやつらだったなんて聞いてないっ!
…うちに話が回ってきた時点で、もっと注意しておけば良かったんだ…。
他組織の奴らを普段から格下扱いしていたから、魔物如きの縄張りを突破出来ないとかマジ軟弱乙www、って位にしか思って無かった過去の私を今、本気でどつき回したいっ。
…元々この夫婦の事は知っていた。
裏ではある意味有名人だったからさぁ…雑魚的な意味で。
他大陸でにっちもさっちも行かなくなって、こっちに逃げてきたんじゃないかって言う推測が濃厚であった2人を偶然街で見掛けた事があって…何ならわざとこの商人夫婦の近くを横切って仲間と遊んだ事さえあったから油断してた。
…こんな近くを通っても気づかない雑魚い奴らw、と決めつけて、あの噂の裏付けも特にしなかった。
…遊ばれてたのは、私たちだったのに…いや、むしろ本当に気にさえされて無かったのかも知れない。
村人誘拐の仕事内容を聞いた時は、そんな簡単な依頼なんて受けんなよなぁ、ボス…と呆れた。
もうちょっとスリルある依頼が良かったよなぁ、と同僚と愚痴ったもんだった。
調べてる時に、同業者が結構やられてるって話を聞いて“おっ、意外とやるのか?”なんて調子づいたけど、こいつらが街にやって来てた時に実際に村人っぽい奴らに手を出したのに一切反応無しだったから、うちらの存在にすら気づきもしない雑魚だって勝手に決めつけてしまっていたのだ。
ワザと傍を通りすがってみたけど無反応で、所詮は他大陸から逃げて来た奴らだと笑った頃の自分を殴り殺したいっ……確実に顔を覚えられているだろうし、なんなら今まで敢えて泳がせてた…いや、遊んでたのは向こうだったんだってイヤでも理解させられたからだ。
…あんな…一瞬であんな気配がガラッと変わるなんて思ってなかったっ……。
言葉もなく、全力でその場から逃げ出す様に身体が真っ先に反応したのは、今までの経験からの最適解だったのだ…皆一目散に自分の命優先で逃走するなんて、そんな経験無い…。
ひたすら真っ直ぐ、駆け抜けた……相手は2人、こちらは5人プラスその場に奴隷が1匹。
…貴重なスキル持ちだったが、囮としては良かったかも知れない…これで我々の生存率が上がったのだから。
あの奴隷に1人、我々精鋭の5人の内最も運が悪い奴が1人捕まるとして、残り4人は何とか助かる見込みであるなら、私にもチャンスはある筈だ!
後ろは、振り向けない。
恐怖で足も止まらない。
ひたすら真っ直ぐ駆け続けて、やっと見慣れた場所まで辿り着いたところである。
「……ここまで来れば、」
あの場所から大分離れられて、誰かが犠牲になったにしろ、自分はあの怪物共から逃げ出せたんだと安堵しかけた時に
「あはは、もう鬼ごっこは終わりって事?」
…自分以外の気配は今も感じないのに、直ぐ真後ろから声が聞こえて反射で飛び退いた。
「……なん、、、で………」
声が震える。
そこにはあの女が1人、ポツンと笑って佇んでいる。
「あっちではもう、自分たちに喧嘩ふって来るやつなんて皆無だったからねぇ…」
心底楽しそうに目を細めて笑う女に、自然と目が釘付けになる。
……ちくしょうっ!運が悪い1人はどうやら私だったらしい…。
対峙する女は極自然体で立っているだけにも関わらず、圧倒的圧に押されて身動きが出来ない。
「…あはは、そんな怯えないでよ」
ゆっくり近づいて来る女に逃げたいのに、身体が動かない……
…ふと、目の前から女が消えた…
「じっくりたっぷり、尋問してあげるから…精々壊れないでよね」
———と言う声と共に、視界が暗転する。
ああ…こんな依頼なんて受けなければ良かったんだ。
只ちょっと特殊な場所にある村の村人を1人誘拐して来るだけの簡単なミッションだとばかりに思っていて、折角ここまで足を運んだんだからと見目の良い村人何人かも一緒に攫ってしまえと笑っていた数刻前の自分達の無謀さを嘆いたが、どう考えてももう遅過ぎたのだ。
そんな思考で意識を手放した女であったが…
…そもそもの狙いがアレンな事も詰みだったが、ついでと狙ったのが寄りにもよってジェニーである。
詰み以外の何ものでも無いのだが、意識をかられたこの女には知る由も無い事であった。
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