第37話 ジェニーの大冒険⑧
お母さんって普段から食が細いんだけど、ここへ来てさらにあんまり食べられなくなっちゃったのは…臭いも当然あるけど出てくる食事が美味しく無いのも原因だと思う。
私も全然食欲湧か無いもの。
お腹は空くけど、1口食べたらいらないってなる不思議現象勃発中。
…お父さんだけだよ、パクパク食べてるの。
「不味いけど、食べれない事は無いから」
って言われたら、何にも言えないよ!
でもその言葉に、お母さんが頑張ろうとしたら止めてたけど。
「まあ皆日本的食事にどっぷりだもんねぇ。無理か」
その時ボソッと何か呟いてたけど、上手く聞き取れなかった。
聞き返したけど、
「独り言〜」
だって。
良いけど。
お母さんが早々にギブしてくれたお陰で、それ以降は宿の厨房借りてお父さんがご飯作ることにしてくれたみたい。
「俺が作っちゃったら、いつもの日常と変わんなくなっちゃうよ?」
って言われた。
…ただでさえもう、宿に引き篭もって出てないから余計にね。
でも
「お父さんのご飯が美味しいのが悪いんだもーーんっ!」
って言い返したら
「仕方ないな」
って笑ってたよ。
これで食事に関しては“無問題”って奴になったのだ!ドヤァ。
…従業員の人達が全員変わっちゃってから、お父さんに惚れてる!みたいなのは無くなったけど……陶酔し出しちゃったのは、どうなのかしらってドン引き中。
「まあ仕様が無いよ…あんな食事が普通だった所に、父さんの食事が出されちゃったらさぁ…」
「革命?」
お兄ちゃん達の言葉には頷かざるを得ないけど…これ、帰る時に一悶着無いかい?と心配した。
(↑それは大丈夫だったけど、かなり号泣はされた…)
この街の唯一良いところは、お金さえあれば割と何でも買える所だと思う。
お父さんに任せたお土産選びの買い物で、独りで出かけるのは何か嫌ってなったみたい。
だからって宿の人にお金持たせてあれ買ってきて〜ってやってるのは大丈夫なのかな?って思ったけど……宿の人も何故か従順だし、お父さんはやたらと人に指示出すのに手慣れてるしで不思議だけどそれが当たり前の事みたいな空気出てたよね。謎い。
だってお父さんってば、村では全部自分でやるって感じの人だからさ。
今回の旅で唯一良かった所は、お父さんのいろいろな顔が見れた事かもね。
魔石を何個か買わせて来て、魔物・人避け結界ならぬ臭い結界作ったり……これは私たちだけじゃなくて宿の人達も大絶賛だったよね。
食材も、村では見た事ないねって品も買わせて来てたけど、ちゃんと美味しい料理になってて皆大喜び。
…宿の料理人さんの血走った目だけが怖かったかな。
お客さんは最初私たちだけだったのに、ご飯が美味しくなった時点から徐々に増え出して、今では満員だもんね。
(↑お父さんは私たちの奴しか作ってないけど料理担当者が付きっきりで見て覚えて、調味料もうちから買って作ってるのよ)
だから前は宿内だったらウロウロ出来てたんだけど、今は部屋の中でしか行動できなくなってるのだ。窮屈ぅ。
時々貴族とかも来るようになったって言ってたから仕方無いけどね…偶に下に馬車が停まるのはそれかな?
「こっちから出る匂いも遮断すれば良かったか…」
ってお父さんが言ってたけど、それは営業妨害になっちゃうと思うよ?
お母さんもそう思ったのか、今にも改造しそうなお父さんを止めてたよね。
…流石にね。それやっちゃったら、暴君じゃんねと思ったもんね。
何か下で大騒ぎしてた人もいたよ。
生憎私ら部屋に居て内容までは聞こえなかったんだけど、ちょろっと覗きに行ってたレオ兄曰く
「俺様が泊まってやるから有象無象の平民達は追い出せ!だって」
「わ〜〜、俺様ぁっ!!」
私、大喜び。
それ本当に言う人居るんだ!とちょっと感動しちゃったよね。
お父さんの本で良く出てくる小物な人だよ。
ちょっとそれは生で見たかったかも!
…ん?お母さんも気になるって?じゃあ村に帰ったらこっそりその御本取ってきてあげるね。
一緒に読もう!!
「結局私らって宿からは追い出されて無いけど、その後はその御貴族様どうなったの?」
素直に帰ってくれる系の人じゃ無いのは確かだよ。
「それは俺も謎なんだけど…突然倒れてさぁ。あ、生きてはいたよ?」
「え?」
「護衛が大慌て。害した奴出て来いっ!とか言って剣振り回し始めちゃったけど、誰かが病気なんじゃ無いかって声を上げてからは別の意味でそのばが騒然としちゃってさぁ」
「えー、怖いねぇ?」
「そうそう。でもさぁ、あんだけ主人を害したって荒れてた騎士様が真っ先に逃げ出したのは思わず笑っちゃったよね」
「えーー…」
結局その倒れた人は、この宿の人達が何処かに運んで行ったらしい…馬車も出てっちゃって居なかったんだって…それで良いのか、御貴族様…っていうか仕えてる人達。
…あれ、そんな騒動だったんだね。
全然知らなかったよ。
それ以降、その人達は来てないみたいだけど…。
私たちの滞在中にはもう、来ないでほしいよね!
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