第35話
日常にうんちがある生活に、家族は耐えられ無かった模様である。
…まあ完璧に俺の所為だな、とアレンはひとりごちる。
元々村に馬車は無いから馬の糞は別として、普段清潔を心がけている日本人魂が炸裂して毎日のお風呂にスキンケアなどを日常に持ち込んだ結果…実は皆いつの間にか、綺麗好き化していた様である。
風呂で汚れも落とせない上に、この臭いと排泄物の不潔感で鼻は麻痺していても生理的に無理な身体になってしまったみたいだね。
…特に母さんとリースとジェニーは顕著で、始終自分の臭いを気にしていたからなぁ…。
さり気なさを装って、自分をくんくんする様はちょっと面白可愛かったのだが。
笑ったら不味そうな空気を察知して黙ってました…特に母さんの眼光が怖かったよ…ぶるぶる。
家族皆宿から出たく無いって事だったんで、俺だけで街を回ってお土産を物色する事に。
ジェニーの上目遣いの「お願い」には敵わなかった結果である…誰があんな技仕込んだんだろう?
可愛かったから良いけれども。
宿はアズマさん系列のお宿なんで、宿内あるあるの誘拐とかも無いだろうし、一応皆には外には出ない様に念押ししてから出掛けた俺は知らなかった…と言うか、忘れていた。
ここ、日本じゃ無いからお土産とか言うカテゴリーのちょっとした小物とか売ってなかったんだって。
大人用にお酒とかは買えるけど、ジェニーが求める様なご当地キャラグッズとかある訳ないし、スイーツはお貴族様用のテンプレお砂糖たっぷりザリザリケーキしか無い。
装飾品なんかは、それこそ結婚する恋人に奮発して買うような物しか売ってないし、雑貨屋で売っている平民が付ける様なちょっとしたアクセサリーも売っている事は売っているのだが……子供が持つような安っぽい感じの物とかは皆無であるし、そもそも小さい子が買う想定がされて無かったな…と途方に暮れる事になる。
…じゃあ何で、ジェニーがお土産の概念を知っていたかと言うと…部屋の奥に隠してあるアレの影響だろうな、とは思ったが…俺の傷口を広げたく無いので考えない事とする。
…アレは俺一人の自己完結型趣味なんだが…羞恥。
コホン。
さて、じゃあどうするかって話なんだが…どうしようかな?
「じーーーーーー……」
「ん?」
結局、無いものは作れば良いんじゃね?的精神の元、材料購入して部屋でちくちくクラフト中なう。
因みにリースも興味深々で見よう見まねで作成を手伝ってくれております。
できた嫁である。
因みに、リースが作った物は俺が貰うが。
相手が女子供であろうが許さない、狭量さでお送りいたしておりますが、何か?
リースは俺が最初に作った物を貰うって事で合意。
じゃないと、お土産が成り立たないしな。
何を作っているかというと、簡単なデフォ動物のお人形さんな。
街は臭いし不潔感凄いけど、売ってるものはまあまあ品質良いからね、一応。
第一弾はもうリースに見本も兼ねてお渡し済み。
リースのポッケからこんにちわしてるのを、ジェニーが熱心に見ているよ。
…いや、別にこの世界にもあるにはあるんだよ?お人形さん。
でもそれって所謂高級品(陶器製)で、貴族が持ってるリアルで可愛くない物体なんだよね。
あれの何が良くて持っているのかがわからん。
ホラーじゃん。
あれは目ん玉が飛び出る程お高いし、貴族御用達の紹介制玩具だから手に入れるのは庶民では無理。
…まあ可愛く無いから要らないけども。
俺が今作っているのは布と綿で作る日本で言う一般的なお人形さんなんだけど、これもこの世界じゃあ高級品の部類には入る。
まあ、村人としてはってところだけどな。
御貴族様はこんな材料ではそもそも作らないし、庶民には高すぎる素材だから俺オリジナルの商品にはなるだろうけれど…まあ一応街で買った物で作るんだから良いじゃない(ゴリ押し)で何とか乗り切ろうと思っている。キリッ。(苦肉の策)
そして
「ジェニーも〜…それ、ほちい…」
可愛いデフォされたお人形にメロメロになったらしい娘が、もじもじしながら催促して来て、可愛いが過ぎるっ!
お土産だとかは関係無いね!
勿論承諾一択だろ?
土産用だと思って少量しか買って来なかったけど、買い足しに店まで走ったのは…想定外ではあったけど良しとする!
———その後。
“稼いでいて良かった”と思える程の種類と数を要求されるとは微塵も考えていなかった俺であったが……愛娘からの要望なので、頑張って作りました。
遠慮がちだけど、嫁からも再度要請を受け調子に乗って大量生産した結果…帰りの馬車が人形だらけになったのはまあ良い思い出って事で許して欲しい。
(↑女性受けは良かったよ?)
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