第30話 ジェニーの大冒険④


 あれからの道中は、全ての跡地・廃墟はスルーで通りました。


 通る時はお父さんが御者席から声を掛けてくれるから、皆で見ないふり〜〜して馬車に引き籠るの。


 それが何だかおかしくって、クッションの隙間から皆と顔を見合わせてクスクスするんだよ!


 レオ兄とグレ兄情報で、この先にはもう跡地や廃墟は無いよってタイミングで御者席で馬を操るお父さんの膝にインして外を楽しんでみたりしてた。


 …馬車はやっぱり飽きちゃうからね。


 お父さんも1人で寂しかったのか、私が膝の上に行くと大喜びでお迎えしてくれたのよ。ふふんっ。


 御者席は流石に外気に当たるからって、毛布でぐるぐる巻きにされたけど、それも楽しい。


 ぽっかぽかで、快適快適ぃ〜〜。


 ちょっと急げば、今日中には街に着けるかもって言われて、うーん…って悩んでいたら



———ガンっ!!!



 って急に馬車に振動が来て、思わずお父さんの胸にしがみついた。


「??」


 お父さんの腕の中から周りをキョロキョロ見回すけど…


 特に何にも無いんだけどなぁ?


 そのままお父さんを見上げると


「…ほあ〜〜……」


 いつものぼんやり顔じゃなくって…何かすんごいっ良い顔してて、


「困るんだよなぁ〜…動物なら本能で寄って来ないって言うのに、人はそう言うの鈍感だからさぁ…」


 とボソボソと呟いてた。


 …人?って思ってたら、


「おいっ!!大人しく荷車置いて失せなっ!」


「あん?子連れか??女も居るなら全員置いて行け!死にたくはねーだろ?」


 と、薄汚れた男たちが馬車を囲む様にしてゾロゾロと木の影から出て来てビックリ。


 …これ、知ってる!お父さんの絵の本にもこんなお話あったもん!!


 ジェニーは鼻息をフンフンとさせてアレンの腕の中で大興奮していた…多分、突然起きた非現実な出来事に、リアルと認識出来ていないんだろうな、とアレンはくすりと笑みを浮かべる。


「ああんっ!?何がおかしいんだよ!お前、舐めてんのか!?」


と言う怒鳴り声には流石に身体を竦ませていた様ではあるが…くるくると表情が変わる愛娘の可愛い頬に、ちゅっとキスを1つ落とす。


「良い子にしておいで」


 とさりげなく馬車内に押し込められた。


 …中に入った振りで仕切りの所から、齧り付きで外を見回すよ。

 だって、すっごく気になるからっ!

 まあ勿論、危ないので馬車から外には出ないギリギリの所でではあるんだけどね。


「…あれ、お父さんは?」


 すぐ後ろに居た筈のお父さんの姿は消えていて、次いで直ぐに


「ぐわっ!」


「ぎゃああああっ!!」


 という男たちの悲鳴と共に、周囲の男の人たち全員が一斉に地面に倒れていく。

 …不思議現象っ!!


「ヒイィぃぃー!!」


「助けてくれぇ〜〜っ!」


「あっ…足がっっ!!」


 って言いながら、地べたでモゴモゴと芋虫ごっこを始めてしまったよ。


「おー?しけてんなぁ…最近の盗賊は」


 お父さんの声がしてそっちへ顔を向けると、いつの間に?って所に立ってて、小汚い袋の中身に舌打ちしてたよ。

 おおぉ〜、ちょっとバイオレン?で、カッコいい感じなのだ!多分。


 懐から、ちっちゃい筒みたいのを出して口に咥えてたけど…音なんて一切鳴らなかったのに、何処からか一羽の小鳥が飛んで来てお父さんの肩に着地した。

 …可愛いっ。


 お父さんが鳴らない筒にまた何回か息を吹き込む真似をすると


「あ!飛んでっちゃった」


 ピューっと飛んで行った小鳥に思わず声が出た。


「ん?」


 お父さんと目が合っちゃった…てへっ。


「…まあ、馬車内か?」


 見つかっちゃったけど、怒られなかったのをいい事に、


「お父さん格好良かった!!」


 とお父さんの真似で、ニシャっと口角を上げてみせる。


「ブフっ———…か、かわいいっ!!」


 と笑われたのは解せぬぅーなのだが、カッコいいお父さんも偶には良かったけど、やっぱりいつものにこにこお父さんの方が良い気がしたので特別に見逃してあげる事にしたのだ。うむうむ。


 …そんな間に、周りの倒れた男たちがいつの間にか回収され、何処かに消えていたのだけれども……そんな変化にはジェニーは気づく事もなく、2人は相変わらず和気藹々とまた旅の為に馬車を進めるのであった。



 …因みに、その間馬車が止まっていた事さえ気づいていなかった中のメンバーは。


 その日の野営時にジェニーからそんな話を聞かされて大いに慌てるのでありました。



 …後日ジェニーはお父さんに胸の筒を貸して貰って、フーフーしてみたけど…やっぱり音は鳴らなくて、小鳥も来る事はなかったのでちょっとブスっ、ってしたのはご愛嬌?




※ ※ ※


 近づかれる前からアレンは気づいていましたが、基本負ける想定してない上に、前前世でも待って狩るスタイルだった為、今回も癖でそんな感じで倒しました。

 アレンからしたら、鴨がネギ背負ってきた位の認識。

 殺さなかったのは盗賊自身がお金になるから。

 笛はボスの子飼いの子たちに処理を頼むために鳴らしました。

 盗賊の財布は懐に収めましたが、盗賊自体の代金は売却してくれる子飼いの子達に譲りました。これも笛で伝え済みです。











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