第17話


〜リースサイド〜


私達の世代の女の子の初恋相手は、村長の息子であるダグマ様か、現夫であるアレンで二分化されていた。


ふふ…私の初恋は、アレンなのよね。


気が強い人は苦手だったので、仮にアレンがあんなに綺麗な顔で無くても、アレンに恋をしていたと思うわ。


村の男達は基本、荒々しかったから。


アレンは他の子達と違って、幼少期から勤勉だった。


良く、親の後ろをちょこちょこ着いて回って、家事や畑仕事を手伝っているのを見掛けたし。


大人達が自分の子供に、アレンを見習えって言ってたのを何回か見かけた。


…だから、そんな子達からは嫌われていたみたいだけど…多分本人、気付いて無いわ。


気付いた所で、気にもしないだろうけれど。


いつもニコニコ楽しそうに笑ってる顔が、素敵だなって思ってたし、彼の穏やかな雰囲気が凄く好きだったけど。


村の中の可愛い女の子と付き合い出した時には、大失恋した気分になった。


…例え、仮にフリーだったとしても、私から声を掛けるなんて出来なかっただろうけれど。


一人、夜に枕を濡らして大後悔したのよね。


同じ失恋でも、告白していれば良かったって思って。


…アレンとその子が並んでいる姿を見たく無くて、家に引き籠る日々を過ごしたわ。


心の折り合いを付けるのに、かなり時間を要したのと同時に、自分の将来を諦めた。


だって彼以外の男性は乱暴者だし、私のそばかす顔を罵って見下す人ばっかりだったから。


それに成人したら、村を出るって人ばっかりだったのも大きい。


私も外に憧れが無い訳では無かったけれど、一人で生きていけるかって言われたら絶対無理だった。


だから無難に村で、親の元で静かに生きていく覚悟をしてたのだけれど…。


青天の霹靂!


まさか将来、アレンが彼女と喧嘩別れして…私と結婚する事になるなんて!!


すっごく、嬉しくて!


でも理解が追い付いて無くて、アレンを前に、無様にもごもごとしか喋れなかったけれど。


アレンは凄く、優しかった。


私が落ち着くまで待ってくれるし、ちょっと持ち直した時に見た様な、彼女にしていた様なお姫様扱いを、この、地味な、私に!してくれて!!…へへ。


でも、不安もあった。


私って所詮、消去法の結果、選ばれた婚約者に過ぎなかったから。


アレンとくっ付きたい勢が、村に残るって選択をしちゃったら…私なんて、簡単に押し退けられちゃうに決まってるもの。


現に、別れてダグマと付き合い出した元彼女の子は、わざとアレンの前でベタベタして…嫉妬して追いかけて来なさいよっ!って目で、アレンを見てたし。


生憎その意図は、アレンにはこれっぽっちも伝わって無かったけれど。


私も大分、睨めつけられた…。


視線が、あんたなんてお呼びじゃ無いのよって目で見られてたから。


結局、アレンは村に残ったし。


私以外の女の子は全員、外へと旅立って行っちゃったわ。


…アレンは素敵だけれど、外の人はもっと素敵かも!って希望を持ってるって笑ってた…居るのかな、そんな人。


私は、アレンが良いけど。


皆が予定通り出て行って、正直ホッとした。


アレンには気の毒だけれど、私で我慢して貰いたい。


なんせ、同世代で残っているのは男女合わせて私だけなので!


…アレンが元彼女に一切、手を出して無かったのには正直、驚いた。


実は、別に好みでもなんでも無かったって聞いた時には、もっと驚いたけれど。


…私が自分の容姿の事でウジウジしてたのを見て、告白してくれたのだ。


アレンが私に“可愛い”って言って来てくれるけど…。


その言葉が信じられ無かった。


だって元彼女の子は、文句無しに可愛い子だったから。


彼女と私では、雲泥の差なんだもの!


そう言ったら、実は…と罰が悪そうに教えてくれたのだ。


元彼女の子と付き合っていたのは、単にその子が初めて自分に告白してきてくれた子だったから、らしい。


アレン曰く、性格がキツ過ぎて苦手だったから別れられて良かった。との事。


…アレンは私の顔も、性格も、好みなんだって。


変わってるね?


嬉しいけど、“癒される顔”って褒め言葉なんだろうか…?


本人が照れながらハニカムから、未だつっこめて無い。


…その顔、反則だよね。(真っ赤)





※ ※ ※


リースが、元カノの子を頑なに名前で呼ばない理由は、本人に

「あんたなんかが、気安く私を名前で呼ばないでよっ!」

とキレられたからです。

完全な、八つ当たりなんですが、律儀に守る子なので…多分、一生呼ばないと思う。










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