第29話 幼い少年と狼の思い出
一人の元気な少年が連れとして狼を連れて森に入っていた。
両親はいつもあの森にはいくな。魔物や野蛮な獣人がいると言っていた。
だがあの森に伝わる伝説の神獣が見たくなった。
好奇心が、冒険したいという欲求が僕を突き動かした。
月明かりの照らされた夜に僕たちは駆け出していた。
あの日のことは忘れない。
月と照らされてきれいに見えたフェンリルがきれいに見えた。
「少年とそこの狼、ここにはもうすぐツインコーンの群れが来る。
そして狩りをしている獣人も来る。
早く離れた方がいい」
その言葉を聞いてすぐに大きな足音が聞こえてきた。
それからは元来た道を必死に走っていた。
だがすぐに転んでしまった。
立つことができない。
ツインコーンが迫ってくる。
相棒の狼が僕を守ろうと果敢に立ち向かっていたが、すぐに吹っ飛ばされた。
そして、僕も踏みつぶされた。
「運の悪い少年だ。
今日ここへ来なければよかったものを」
「た…す…けて、ま…だこれから…見たいものが」
「弱いものが消えていく。これも自然の定めだ」
フェンリルの背中が見える。
すぐそばには狼も横たわっていた。どうやらどちらも今日ここで死ぬ運命らしい。
「哀れな少年よ。好奇心は時に人を殺してしまう。本当に悲劇だ」
そこには美しい女性が立っていた。
「あなたは…」
「私は女神だ。そんな私でも風前の灯火の命を延命させることはできない。
だが、そなたの命とそこの小動物の命の残ったものを合わせれば無理やりではあるが延命は出来そうだ。
どうする?」
「なんでもいいから助けて」
「いいだろう君たちには特別に祝福を与えよう」
「なりません女神様。こうも一個人に肩入れして夜を乱すのは」
「少しだけだ。それにこれは以前もやったことだろう。」
「無理やり二つの生命を魔力に変え混合し一つの声明を作る魔法。
つまりキメラを生み出す魔法ですか。
それは以前も試して悲惨な結果に…」
「問題ない。前回は抑制することを考えず手当たり次第に周りの生命を取り込む化け物を生み出してしまっただけだ。
今回はちゃんとそこのところは考えている」
女神とフェンリルが何を言っているかはわからないがその後眠りについた。
起きたら気分はすっかり良くなっていた。
むしろ前より活力があるくらいだ。
そう思ったときまたツインコーンがこっちに来た。
こちらに向かって突進するが、今回はゆっくりに見えた。
そして二つの角をそれぞれの手で握りしめ止めていた。
力がみなぎっている。
両腕を見ると獣の毛が生えていた。
そして自分の大きな口で胴体を噛みちぎった。
感覚で分かる。自分が二足足の狼になっていることを。
この日私は狼男になった。
「なんだ、あいつは。
狼の魔物?ウルフソルジャーか!」
獣人たちが自らのツメや剣、弓で攻撃してくる。
一生懸命にげたいつの間にか四足歩行で自分の家まで走り出して逃げた。
「おーい。バンいるかー」
両親が自分の名前を呼んだ。
そのまま走って向かった。
「これはバンの飼っていた狼?それにしては大きいな」
「いたぞあの野蛮な狼の魔物を殺すんだ」
追いかけてきた獣人が持っていた剣で攻撃してきたが大きな歯で噛んで防いだ。
また二足歩行になり、大きな腕で薙ぎ払い獣人を吹っ飛ばした。
気を失ったようだ。
「た…だいま」
「この化け物!」
ショックだった。今まで育ててくれた親に言われるのは。
あんなおびえた目で見て震えた声で言われるとは。
それからは意味もなく遠くへ旅をしていた。
するとそこに一人の少女が現れた。
「君は居場所がないようだよかったらお姉さんと一緒に来ないか」
「お…れは…」
「まだ自分の姿をコントロールできていないようだ。
よかったらうちに来なよ。今よりは楽しいよ」
それからずっとサミエラさんに付いてきている。
あの不気味な吸血鬼はいつもニコニコしているが、平然と無理難題を押し付けてくる。もう慣れてしまったが。
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