夢の戦闘 その5

尚も抵抗するユメに無理矢理睡眠薬を飲ませるソージ達。

「なんか、ユメをいじめているみたいでやだな。」

それに、対しユートはソージの肩をポンと叩く。

「世界を救うためだ。」

「そうよ、ユメの事もこれで救えるんだし。ウチも心を鬼にして頑張るよ。」

マイコも続けた。

ソージ達も睡眠薬を飲んで眠りに付く。

そして、まずソージの夢共有で、ユートとマイコを、ユメの夢の中へ誘い込む。


 これは夢の中であり現実ではない。

ユメの夢、そこはまるで地獄のような世界だった。

幼いユメが沢山いて、縛られたり、ムチで叩かれていたり、火炙りにされていたり。

なんとも言いようがない地獄絵図。

 ただ、一つ暗い闇に包まれた部分もあった。

「何だろう?」

ソージはその部分に行こうとしたとき、ユメの声が聞こえた。

「そこにはいかないで。」

暗闇の部分。

 そこにユメのルーツは存在する。

行かない訳にはいかない。

一歩一歩そこへと近づく三人に対しユメは操作をおこなった。

「行かないでっていってるでしょう。」

「うあ。」

落とし穴を作ったユメ。

 その落とし穴に落ちた瞬間に場面は切り替わる。

そこは、迷宮だった。

永遠に続く迷路。

ソージ達は行ってり来たり同じ所を何度も回されていた。

「ユート夢耐性だ。」

「おう。」

しかし、使おうとするが使えない。

「ウチ夢自由型で迷路を真っ直ぐな道へかえるね。」

しかし、それも無駄だった。

「なんでだ?」

ソージ達は困惑する。

 

 これは現実だ。

その頃事情を聞いたタケルはジュンコを怒鳴っていた。

「そんな危険な事を、どうしてあいつらだけで行かせた?」

「だって、手紙に書いて…。」

タケルは手紙の最後を語る。

「俺が死ぬときはユメに手を出すなと書いたはずだ。」

「え、書いてなかったわよ?」

「何、どういうことだ?」

ジュンコは手紙を取り出す。

その手紙にの最後に「PS、ユメより。」と書いてあった。

「やられた。」

タケルは記憶をたどる

これは夢の出来事だ。

ソージ達はタケルの手紙の事を思い出す。

「タケル先生の手紙には俺たちの能力でユメに対抗できるって書いてあったのに。」

そんな、ソージ達にクスクス笑いながら語るユメ。

「あれは、あたしが細工しといたわ。」

「なんだって?」

ユートが聞き返す。

「ふん、おバカさんたちね。まんまと、あたしの策にはまっちゃって。」

ソージは夢に問う。

「もったいぶらないで教えてくれ。」

「あたしは、タケルが職員室で手紙を書いてるとこを偶然見たの。」

ユメはまたクスっと笑う。

「そしてタケルが仮眠を取る頃に夢の中に潜入して体を乗っ取たのよ。」

またも、ユメはクスクスと笑い真意を語る。

「あなた達の能力であたかもあたしを倒せるみたいな事を書いたのよ。」

ユメは狂ったように大笑いする。

「何のためにそんな細工を?」

今度はマイコが聞く。

「それはね能力者をあたしのユメの中に閉じこめて、能力を自分の物にするためよ。」

ユメは自分の危ない思想を語り始める。

「そして、世界をあたしのものにするの。だから、一生迷宮で迷い続けなさい。」

ユメは世界までを巻き込み、世界中の人々を自分の奴隷にし自分の理想郷を繕うとしていた。

「させない。そんな事絶対にさせない。ユメ、俺たちは絶対に迷路を攻略してお前の暗闇のベールを剥がしお前をすくってやるからな。」

ソージは諦めてはいない。

「無駄よ、だってそこにはゴールもスタート地点もないから。一生出てこれないわ。」

「ないなら作ってやるさ。」

ユートも諦めはしない。

「ウチもやる。ウチの夢自由型でなんとかユメの夢をかえてみる。」

マイコもやる気に満ちあふれていた。

「もしかして、マンガやアニメの奇跡とか信じてる?」

ユメおなかを抱えた大笑い。

「それだ。」

ソージはひらめく。

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