第28話 後輩でセーラー服の美少女
外に出る前に他のニ人とも合流した俺たちは、施設から少し離れた路地裏にたどり着いた。
すぐに上位のあやかしニ人と戦う
上位のあやかしは俺たちを横目で見るや、急に大声で叫び始めた。
『前王にも肝が冷やされたが、今回はさらに悪いときた!』
『あやかしの時代を終わらせようなどと考えに至る王は、殺すしかない……悲しい
「えっ……? なんの話をしているんだ」
混乱する俺の前後に
《
《この状態が、味方なのか不明のため、危険分子に加えます。及び、他三体のバイタルも上昇。判断予測不明により戦闘態勢を取ります》
「えっ……?
下を向いて表情が読めない
混乱を狙ったように上位のあやかしが一人、鋭く伸びた尻尾のような全身刃物を俺に向けて振りかぶってきた。
すかさず
だが、伸ばされた尻尾のような刃物には、トカゲの尻尾切りのように外れて
そのまま、俺の首を狙って跳ね上がった瞬間、
『――そんな小細工。俺には通用しないんだよねぇ……。それと、俺たち"アヤ様"に忠誠を誓ってるから、
「へっ……? それって、どういう……"
《――
頭が混乱して、
ただ、上位のあやかしに狙われているのだけは分かる。
自然と魔法使いの
『うーん……これは、"アヤ様"が
『……急な展開で、少々ついていけない部分もありますが、"アヤ様"が望んだことでしたら、私はそれに従います』
「
巨人のようにギリギリまで巨大化する
まさか、あの足や手が変化していたのは、
トレードマークだった眼鏡を放り投げる
『ごめんなさい……。
「なっ……嘘、だろう……?」
『あやかしの王を殺すより、混乱に乗じて魔法使いを
尻尾が元に戻ったようにくっついているあやかしが頭を掻きながら何かを言っていた。
ただ、俺の耳には
何かが俺の肩に触れて横を見ると、いつの間にか双子のすき間を抜けてきた
ただ、双子は
俺が気にしたのは、明るいオレンジに近い茶髪の両サイドに伸びるニ本の赤い角。
腰には古めかしいスキットルが覗くシザーバッグが見える。
『
「いや……もう、なんだか分からないけど……鬼? で、酒?」
『うん、そう。酒を飲むと強くなるんだよねぇ。
普段と変わらない口調でだらしのない笑顔を向ける
《――
「えっ……。
『ちょっ……!? やめてください。先輩に対しての好意は、その……後輩としてですから! 人間たちが持つ、
否定するだけ肯定に聞こえる
――
いつもと変わらない彼女に、俺は上位のあやかしニ人を睨みつける。
「もう、
『そうですか。人間の希望である魔法使いなのに、周りにいる上位のあやかしは放置すると……"今回も"、人間は救われなさそうで安心しました』
「あやかしの言葉は聞かない! 頼れる後輩が、そう言っていたからな」
横目で見る彼女が一瞬だけ、目尻を熱くしているのが分かった。
俺は片手を地面につくと、戦闘態勢に入るもう一人のあやかしに向けて大地をせり上げる。
器用に後方へ避ける姿に、背後からドリルのようにせり上げた硬い土で胸に風穴を空けた。
『ハッ……後悔しても、知らな――』
『……先輩が覚悟を決めてくれたのなら、私も仕事をします!』
『さっきまで、俺たちを殺せなかった弱いあやかしの王が、よく吠える』
一人が砂になって消えても気にする素振りもない上位のあやかしは、人間のような
俺から標的を
ノコギリのような
その直後、視界から消える
気配を察知して振り返るあやかしより先に、
『……最強の、王だと……訂正する――』
手の平が握りしめられ、ガラスのように粉々に砕ける心臓によってあやかしの姿は砂になって風に運ばれていった。
同族? に殺されたのにも関わらず、晴れやかな表情もあやかしなのだと思い知らされた。
ただ、他の三人とは違って、
「
飛び散った青い血に濡れた顔と、セーラー服に視線を向ける。
あやかしの血で
ゆっくりと歩み寄って来る
『
《
「分かった……それじゃあ、みんな施設に戻るってことでいいか?」
妹の
元々施設に帰る予定だったのか、先頭を歩きだす
だけど、俺の足は
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