伝わる思ってもない言葉
-『あのさ、せめて昨日言ってほしかったんだけど。
今日締め日なの分かってるよね?』
「申し訳ございません。
-『そっか。ただ、今後辞めてどうするの?』
「今後につきましてはまだ未定ですが、明日以降に面接が入っておりますので。
今後は自分に合った仕事をしたいと思います。」
-『そう。でもね、突然言われても本当に困るなぁ。
代わりのバイトも見つけてないんだよね?
他の従業員に迷惑が掛かる事を考慮した?』
「本当に申し訳ございません。提出したシフトまでは働くつもりでいましたがパートさん、学生バイトの皆さんと店長にこれ以上迷惑を掛けたくないので。」
-『正直、奈央ちゃんはフルで働いてくれているし、頼りたいんだよね。
だけど、まぁ…
奈央ちゃんがもう限界と言うならべt…』
「はい、もう限界です。働けません。」
早く終わらせたい、その一心で相手の言葉を遮って自分の言葉で簡潔に伝えた。
だって… ‘’辞めて欲しい”
なんて心の声が漏れ出てるのが電話越しでも伝わってる。
『自己都合退職』に繋がる “辞めさせて下さい” の一言と
『退職する』 その時を待っていたかの様に。
長ったらしく私に向けられた言葉達は
所詮、偽善だ。
退職後のトラブルを避けたいのは両者共に同じ
後になって恨まれるような事は誰だって嫌だろう
それにしても
辞めると伝えた私を社交辞令で引き止め
『辞めてほしいなんて思ってないよ』と見かけだけ装いつつ内心、喜んでるのが見え見えすぎる。
『だけど、まぁ』 の辺りが特に。
今の店長に変わって数日、前任の店長やパートさん、バイトの子達などなど…
何を話したか分からないが、馬が合わなかったのは確かだ。
作り笑顔を浮かべ親近感を持たせる様な口調も
私には全てが嘘っぱちに見えた。
それに周りのパートさんやバイトの子達の雰囲気もね…。
元々辞めたいと日頃から言っていたからどうでも良いけどね。
つらつらとお世辞の様な言葉を並べる店長を遮り
イライラが込み上げてくるのを我慢しつつ
核心の言葉を伝えた。
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