1-21【星の記憶】

大きな川の向こう側にもう一人のわたしが見えた。


これってもしかして三途の川??


えぇぇ~わたし死んじゃうの~



って思っていたら

もう一人の自分が川を渡ってこちらに向かってきた。



岸に上がり


自分と向き合いになると、


もう一人のわたしはわたしの中に入って消えていった。



すると辺りは一変して



わたしはある星のお姫様になっていた。


そしてその姫の生涯が走馬灯のように流れていった。



幼いころは乳母に育てられ

乳母の子供達と兄妹のように育った。 


それが承太郎じょうたろうくんと柚希ゆずきちゃんだった。



わたし達は仲が良くて

子供のころはいつも3人で遊んでた。



成長していくなかで

柚希ゆずきちゃんとはお互い理解し会える

親友となり



承太郎じょうたろうくんのことはいつしか

男性として意識しはじめ

恋愛感情をいだいていた。



2人でよく夕日の見える浜辺で逢っていたりして。



(あぁ・・・あのハワイの海はこの浜辺に似てたんだ・・・)



承太郎じょうたろうくんもわたしのこと好きだと思っていたから


わたしは将来、承太郎じょうたろうくんと結婚して

一緒に星を守って行くんだって思ってた。



すごく幸せだったのに・・・


 

ある時を境に承太郎じょうたろうくんは急に冷たくなっていって・・・  



そこまで話をすると


『わたしがいったい何をしたっていうの?

ちゃんと説明してよっ!!』



急に声が聞こえてきて、

悲しみの感情が流れてきて、涙が溢れてきた。 


(そうだあの時何度も承太郎じょうたろうくんに聞いたのに 

答えてくれなかった。)



「どうした。大丈夫かのぉ」

といっておじい様がハンカチを渡してくれた。


わたしはお礼も言えないくらい

気持ちが込み上げてきていた。



「ゆっくりでよいぞ」


しばらく大泣きしてから、続きを話した。



・・・結局何故だかわからないまま、


わたし達は言葉も交わすことなくなり



わたしは別の星の男性と結婚することになった。 



でもわたしは承太郎じょうたろうくんのことが諦められなかった。 


わたしの気持ちを知っているはずなのに


理由も言わずに冷たい態度とられて

すごくすごく辛かった。



どうなってもいいと思ってわたしは

結婚の前日に承太郎じょうたろうくんに抱いて欲しいとお願いした。


まーもちろん拒絶されたけど 



わたしが承太郎じょうたろうくんの事が好きだと知っていても

結婚相手の彼は優しくていい人だった。



好きになれればよかったけど

どうしても承太郎じょうたろうくん以上には考えられなくて・・・



わたしは彼に嫌われるよう冷たい態度を取ってた気がする。


それでも彼はわたしを愛してくれてたと思う。 




そんな時、星に大きな隕石が近づいてきていることがわかって



彼の星に移住することになった。




だけど、星を離れたくないと言う人もいて


わたしは一緒に星に残ると決めた。



彼は先に自分の星に帰っていて


承太郎じょうたろうくんが星の住人を引き連れて

大きな宇宙船で彼の星に向かうことになっていた。



わたしは次の便で行くって嘘をついて

承太郎じょうたろうくんが差しのべた手を振り払い 最後の別れをした。



わたしの覚悟に気づいている柚希ゆずきちゃんは一緒に残ってくれた・・・・



「わたしが思い出したのはここまでです。」


「なんか俺が悪いみたいな話しだなっ」



それを聞いてわたしはまた号泣してしまった。



「お前が悪いわ~っ!!」 


そうだよ、この間の試験勉強の最終日だって


この時と状況一緒じゃん、

わたしを何回傷つければ気が済むんだ承太郎じょうたろうくんは 



承太郎じょうたろう殿しずくをどうにかしなされ」


とポチが困った様子で言った



「どうにかっていっても俺は覚えてないし・・・」



「この間の試験勉強の時だってそうだった 

急にもう会えないとかっ!!」


「それは謝っただろうが!!」 



「これこれ、喧嘩しなさんな」 


おじい様が仲裁にはいった。 



「これで残りの者たちが、集まって来るだろう」 


とポチは冷静に言った。 





そうかこいつには知らされてなかったんだな


隕石が落ちるのはずいぶん前から分かっていたはず


それになんださっき隕石の話をしたときに

明らかに爺さんとポチの様子がおかしかった。



おかしい・・・


それにあの男は本当にあいつを愛していた

だから俺はあきらめがついたんだ


なのになんで先に星に帰る?


何故あいつだけおいていった?



それだけじゃない・・・

爺さんは思い出してるのになぜ『星のかけら』が光らない・・・




「この話を聞いて

承太郎じょうたろうは何かあるかのぅ?」


「いやっなにも・・・」


「そうか、じゃあ今日はこれまで

よかったら食事していきなさい。」


「あぁ」


なにか引っかかる・・・

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