第2話



「では、誓いのキスを」


神父様の言葉を受け彼がゆっくりと私のベールを上げる。


「紅実」

「……」


彼の優しい声と共に視界がクリアになり、愛おしい彼の顔が鮮明に私の目に映った。


(あぁ……好き……大好き)


心からそう思える人と結ばれるなんて私はどれだけ幸せ者なのだろうと涙が出そうになった。


「誓いのキスをするのに泣いたらダメだろう」

「……うん……そうだね」


唇が近づくのを見つめながら彼が囁いた言葉に微笑む。


「紅実、愛している。 一生大切にするから」

「私も……一生愛し続けます」


誓いのキスを交わした瞬間、教会の鐘が高らかに鳴り響き列席者から温かな拍手が送られた。


生涯にたったひとり、心から愛した人と結婚出来ること以上の幸せを私は知らない。


そして──この結婚が私と彼の幸せのゴールではないこともこの時の私は知らなかった。




──しばし時は遡る………





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ままごとマリッジ 烏海香月 @toilo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ