第18話 退院後初診察・手術後9日目(診察は横向きか仰向けか)
手術前の通院は自転車だったが、徒歩で行く。自転車で10分足らずの病院までの距離は、徒歩だと40分弱かかる。
病院に着くと、相変わらずの混雑ぶり。その中に、不安症Gさんの姿を見付け声をかけると、互いの近況を話し合った。
どうやら、退院しても変わらず大が出ないで苦労しているそうだ。
「あー、まだ出ないんだ? 元々便秘体質だからこういう状況に慣れててしんどくはないかもだけど、トレーニング的には不安になっちゃうよね。緩下剤が効いてないって先生に相談したら、もっと強い薬出してもらえるんじゃない?」
「相談はしてるんだけどね……診察も、退院した次の日から来てるし」
やっぱり来てたのね。
話によれば、公共交通機関は退院時しんどかったので、隣県から車で通院しているものの運転は痛みがあってそれもまたしんどい、とのこと。それで連日通院は大変だわ……、と同情してたら、私側の交通手段を聞かれ、徒歩40分のところで逆に「冗談でしょっ? 意味不明過ぎでしょっ?」と驚かれました。
「そういえば、退院の時デニムだったのもおかしいと思ってたのよ。私なら痛くてそんなのまだまだ絶対に穿けないものー。痛みはもう――?」
「あー、ないねー。痛み止めが切れると多少痛みは感じるんだけど、ほとんどの時間は手術前と全く変わらなくなってる」
「今だって普通に足組んで座ってられてるし……」
「あー、そうねー。足組んだりは手術の翌日からでも出来たんだよねー。それで痛くなるわけじゃなかったからね」
「そうなのね。どういうことに気を付けてる? 食べるものとか?」
「ないね……一応、入浴時間を入院中以上に多くやってるくらいかな? 自宅だと時間制限がないから、長めに浸かっていられるからさー」
同じ経験してるのにしんどさが違い過ぎて、なんか申し訳ないね。ほんとに運よくとしか言えないけど、かなり楽に経過している実感はあるんだよ。有難いことに。
Gさん曰く、何度もお風呂溜めるのも大変だとのこと。
「お尻だけ浸けれるようなベビーバスみたいなサイズでいいなら買おうかと思って、看護師さんに訊いてみたんだけど、普通のお風呂で良くないですか? って言われちゃって」
「他の病院の情報だけど、洗面器にお湯溜めて浸けるようにってのもあったから、大丈夫なんじゃない? 私も、お湯をフルで溜めるの面倒だし不経済だし汗止まらなくなるから、足伸ばして座って腿の上まで浸かるくらいとか、下半身だけ浸かるくらいとか、そういう感じでやってるよー?」
「いいこと聞けてよかった。私もそれでやってみる。それにしても、すごい色々調べててほんとにすごいわ。こういう系の情報ってあまりないから、入院中から色々教えて貰えて、本当に励まされたし不安が薄れたのよ。もしあなたとあの時出会えてなかったらと思うと、恐怖しかないもの。本当に心底感謝してるのよ、ほんと有難う」
「じゃ、ついでながら今更どうでもいいけど、ビビる情報を一個教えてあげよう。私が色々調べた理由の一つだけど、調べ初めた頃に他の病院の手術に関する動画見たんだよね。ここの病院の診察は診察台に横向きで寝て受けるじゃん? その動画の病院は仰向けになって両膝を自分で抱えて診察だったんだよねー。病院によるらしいね」
「ええっっ!?(小声で出せる最大限の驚き声)」
「それはハードル高いなーと思って、出来る限り横向きがいいから当たりつけた病院の診察はどうなのか経験者の体験談を探しまくって、それで、情報多くなったんだよねー」
「……」
「ここの病院はすごく詳しく情報上げてくれたブログ先輩がいて、文章だけじゃなく写真や絵もたくさん載せてあったから、横向き診察なのもわかって安心して受診できたんだよ」
「……知らなかった」
「ま、そこは診察や手術に直接関係しないからか、病院側の発信を見てもほぼ情報ないんだよ。だからなかなか判らないもんねー」
「……仰向けだったら、私絶対無理だったわ」
「よかったね。選んだ病院が横向きで」
せっかく感謝してくれたGさんを、今度は恐怖で凍りつかせてあげる私。
感情のジェットコースターを楽しもうぜっ。
あ、ちなみに退院後の初診察は入院中と同じ流れの後、何も問題がないことを確認してあっという間に終了でした。
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