【号外】三題噺について

 近況ノートには書いたのですが、ひさしぶりに短編を書きました。柴田恭太朗さんが自主企画してくれている三題噺です。三題噺――ご存知ですか?


【三題噺】

三題噺(さんだいばなし)とは、落語の形態の一つで、寄席で演じる際に観客に適当な言葉・題目を出させ、そうして出された題目3つを折り込んで即興で演じる落語である。(Wikipediaより抜粋)


 元々は落語用語なんですね。古典落語の「芝浜」が三題噺として作られたというのは有名な話。笑福亭鶴瓶と桂ざこばの「らくごのご」という三題噺をオンエアする番組もありました。


 小説の三題噺も落語と同じで、お互いに無関係な3つのキーワードを小説に織り込んで書く即興性の高い小説です。カクヨムでもときどき自主企画されています。無関係な言葉3つを織り込んでひとつの小説にする練習をすると、物語を作る能力が鍛えられる――と言われています。


 小説を書きはじめた当初は嫌いでした、三題噺。特定のテーマに縛られ不自由な小説を書くなんて物好きなことだ、自由に思い通りに書くのが小説の醍醐味じゃないかと思ってたんですね。いやいや、了簡の狭いことだと恥ずかしい限り。


 素人作家にとって三題噺は、物語を作る能力を鍛える以上のメリットがあります。それはことです。先ほどわたしは「自由に思い通りに書くのが小説の醍醐味」と書きましたが、じっさい素人作家が自由自在、縦横無尽に小説が書き分けられるかというと、まずそんなことはあり得ません。個人が興味をもつ範囲というのは意外に狭いものなのです。


 小説を書きはじめたばかりの素人作家が、2作目、3作目と書き続けると必ずテーマがかぶってきます。そのうち似たような小説ばかり書いていることに気づくでしょう。そのこと自体はなんの問題もなくむしろ当然で、プロ作家だってそういう人が多いのです。ただ、作家自身が自分の書くものに飽きたり、つまらないと思ったりしてしまうのが問題です。作家が書き続けようと思ったら、どこかの時点で自分の頭をリフレッシュさせる必要があるのです。


 そのためには三題噺は最適です。互いに無関係な3つのキーワードをどうやってひとつの物語にまとめようかと必死に考えていると、いつもの自分では思いつかないような物語展開が思いつくものなのです。「ほんまかいな」と思ったそこのあなた。これはほんとうです。書いている小説がマンネリになってるなあと感じたら、三題噺にチャレンジしてみるといいでしょう。新しい作風に開眼するかもしれません。


 三題噺にコツがあるとすれば、3つのキーワード(お題)に固執しないことだと思います。お題となったキーワードの意味や用法を掘り下げていってもなかなか良い小説にはなりません。テーマ(描きたいこと)とキーワードの間に飛躍があるほうが小説はおもしろくなるのです。キーワードをばねにぶっ飛んだ小説を書くよう心がけましょう。いままで書いてこなかった小説に出会えると思います。


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