反撃・・・できるか?
「殺し屋、ニーべ・ザルツ。34歳、人間。逮捕歴あり。惑星地球生まれ」
マルスが淡々と標的の情報を読み上げる。
「バースラマフィアとは敵対関係にあるハンザスシンジケートのお抱えだった様ですが2ヶ月前に契約が切られた様です」
全部依頼を受ける前に調べたことだ。何度確認したって奴がロボットだという情報はなかった。
「これ以上調べても埒があきません。対策を考えないと。逃げるのか戦うのかとかぐらいは決めるべきです」
「喧嘩を売ったんだ。逃げるのは無理だろう」
「じゃあ戦いますか?」
「うーん…」
今のままじゃ勝算が全然見えなかった。やつは100人以上の大部隊なのだ。こっちは1人、小手先の作戦なんかじゃどうにもならない。
「アレを呼ぶか…?」
「借金が増えますよ。なんのために奴を呼びつけたと思ってるんです?」
「でも死んじゃったらなぁ」
「はぁ…本末転倒ですね、これじゃあ」
グウの音もでない。しかし反省は生きているからこそ意味があるのだ。ここで死んだらそれこそ意味がない。
「信号を出しました。4時間後には到着するはずです」
「サンキュー。多分やつはこれを逆探して居場所を突き止めるだろうが、まあ間に合うだろう」
「もし、間に合わなかったら?」
「死ぬ気で戦うさ。死なない程度で」
俺は胸のポケットからレーションを取り出してボリボリと食べ始める。乾燥してて全く美味しくない。
「ついさっきまで差し違えてでもとか言ってたのに…なんて一貫性のない人なんでしょう」
「賞金稼ぎだぜ、俺は。何事にも縛られない」
「じゃあ早く借金からも自由になって下さい」
それができれば苦労はないのだ。
つづく
借金王賞金稼ぎ メルノ256 @Meruno256
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