借金王賞金稼ぎ

メルノ256

賞金稼ぎと殺し屋

 宇宙は広い。なら可能性だって無限大。


 そんなわけで俺は賞金稼ぎをやっている。稼ぎはいいはずなんだがどうも金がたまらない。それどころか借金する始末である。どうして・・・。


「今日までの借金の合計は3億バルト。そのうち一番やばい、バースラマフィアのが2000万バルト。17日以内に支払いがないと奴らの実働部隊が来ますよ」


相棒AIマルスが淡々という。感情がないとかで主人の危機だってのに、全然緊張感がない。


「淡白に言うな。俺が殺されたら、お前だって機能停止されちまうんだぞ」


「私はネットにバックアップをアップロードしています。本体が消されてもあなたと違って生き残れますよ」


・・・。かわいげのない奴だ。こっちの心配なんて全然してない。


「こっちの心配だって少しはしてほしいもんだね」


俺はつぶやく。


「こんな危険な仕事を受けるような人間の心配をするほど私は高性能じゃありません」


 奴はまた辛辣に返す。奴の方が上手だ。俺は勝てない勝負はしない主義。なので話題を変える。


「とにかく。もうすぐここに標的が偽の依頼を受けに来る。そうしたらこのハッキングプログラム入りのディスクを読み込ませて奴を無力化する。仮にできなくても動きが鈍ったところを打ち抜けば報酬は下がるが借金は返せるだろうさ」

 

 クライアントの依頼は殺し屋の排除だった。そいつはマフィアお抱えだったそうだが契約の不履行だがを理由に契約を切られ、逆に賞金を設定されたらしい。ちょっとかわいそうな話だが、賞金稼ぎに私情はいらない。


 惑星b2113412、何の変哲もない砂漠しかない惑星。銀河連邦領内にある無人星だ。殺し屋の末路にはちょうどいいかもしれない。まあ借金まみれの賞金稼ぎの末路にも妥当かもしれないが。


 砂しかない地表で待っているとレーダーが反応した。標的の宇宙船が来たのだ。


 奴の宇宙船が下りてくる。でかい船だ。一人には大きすぎる。だが情報通り。マフィアがスポンサーについていたのなら納得の大きさである。


 ハッチが下りてくる。奴は一人だ。これも情報通り。


「依頼を聞こう」


「ある奴を消してほしい、詳しいのはこのディスクを確認してほしい」


「わかった。見てみよう」


 奴はディスクを読みこむ。そしてプログラムが発動する。奴のヘッドセットは今真っ暗なはずだ。無力化は出来ない。なら


「消えてもらうぞ!」


 俺はレーザーピストルをホルスターから引き抜き、撃つ。直撃だ。奴の頭が吹き飛ぶ。死体は力なく倒れる。


「・・・。なんかわきが甘いな。これが凄腕の殺し屋?ずいぶんと弱いな」


「確かに弱すぎます。」


マルスも同意見だ。


だがその時やつの宇宙船から大きな音が鳴る。ハッチが開きゆっくりと地上に降りてくる。


そこには大量の奴がいた。全員同じ背丈で、同じ顔。


もちろん武器を持って。



つづく




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