勇者の軌跡9 状態異常回避のために更なる呪いを
こちらの意思に従ういいスライム鎧を手にしたことで剣の被害もほぼなくなり、旅は快適となったが、魔王城へ近づくにつれ、問題が起きてきた。
敵が状態異常攻撃を仕掛けてくることが多くなった。
敵の攻撃は鎧で防ぐことができるが、状態異常の息を吐いてくる敵に対しては無力。
毒ならまだしも、麻痺、眠りについてはカバーできる仲間がいないためにタコ殴りを我慢するしかない。
流石に仲間を募った方がいいかと思ったが、ここまでくると大体が一連托生となったパーティが多く、弾かれたような人材は最初の頃よりも質が悪い。
寝込みに何かされるだろうことが予想される。
そうなると状態異常から身を守るものが必要となる。
教会ではその手のものを販売はしているようだが、それは回数制限つきかつ、高額。
一応、回数制限がなくなったものの回数を回復する手段もあるが、買うより少し安くなる程度。
その金額についても最初の街から比べるとどんどんと上がってきている。
需要があれば、それだけ高くなるのは道理。
教会の守銭奴さは加速するばかりだ。
完全に状態異常を防ぐ手立てはないが、他に方法はある。
それはすでに状態異常になっているのなら、他の状態異常にならないというよくわからない法則。
毒状態なら麻痺、眠りは効かない。
常時、毒状態となると回復が必要になるため、鎧の維持が困難。
なら、選択肢は更なる呪いの追加。
他の状態異常を跳ね返すほどの呪いとなるとかなりの物を必要する。
そんな強力な呪いを持つ装備はある孤島にあった。
元は神を祀る神殿があったとされる島。
今では瘴気が渦巻くダンジョンと化した島の中心、神殿の最奥、鬼と呼ばれる親玉を倒した後に出現した鬼の顔をした面。
見るからに黒い瘴気を放つ面を前に俺は取り憑かれたようにその面に手を伸ばし、顔にはめる。
その瞬間、目の前が真っ赤に染まり、意識を失う。
次に目覚めたときには無惨に破壊された神殿、ここにいたであろう魔物の死骸が散らばっていた。
鬼面の効果、付けた者の視界に映る全ての生物が息絶えるまで装備者が暴走状態になると言う呪い。
剣よりも厄介な物を手に入れてしまったが、この呪いであれば、状態異常は跳ね除けられそうだ。
後は呪いの対処だが、片目を目隠しすればどうだろうか?
結果としては衝動が起こるが、なんとか抑えられそうだ。
人前で鬼の面で過ごすわけにはいかないため、普段は鎧から面を覆う形でフルフェイス型の兜で覆っておく。
これからはなるべく人は避けていくべきだろうな。
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かつて勇者と呼ばれた者の装備 テリヤキサンド @teriyaki02a
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