アララシアとルハンシア。二つの国は只今戦争状態にある。
そのうちの片方、アララシアの政務室にて、
大臣が一枚の絵を購入いたしました。
その絵は、敵国、ルハンシアの画家によって描かれたものとされているが、
戦火の中、焼け残った絵には価値があるとして、大臣は絵を購入いたしました。
しかし、その絵には隠された秘密が……。
戦争で回る経済というものがあるのならば、
戦争で失われる資源がそこには当然あり、失われた資源の代償は一体誰に求めれば……?
そうですなあ。
戦争を始めた本人に、支払わせるのが筋でしょうな。
二つの国の間で、失われたもののために暗躍する、とある義賊の物語。
ぜひ、ご一読を。
焼かれ失われたはずのプリマチェンコの絵。
その一点だけ残った作品を巡って、戦争と復讐が静かに交差していく物語で、迫力があります。
作中に登場する人々は、誰もが傷つき、誰もが怒りや喪失を抱えています。
そして、その中心に置かれた一枚の絵は、
「美術は戦争を止められるのか?」
という問いを、静かに投げかけているように感じます。
ナタリアの行動は復讐であり、同時に絵に託した祈り、でもありました。
最後に孤児院へ差し出された絵はがきの場面がとても印象的で、
彼女の痛みと願いが、胸に染み込んできます。
余韻の残る、テーマ性のある1作で、おすすめです。