第5話 新しい生活。

両親との穏やかな朝食の時間を終え、次に待っているのは、学校だった。

階級の高いお嬢様が多く通う『月城高等学院』。ここにも、私にとって良い思い出など一つもない。


お父様もお母様も、今までとはまるで態度が違った。これまでの待遇が嘘かのように…。

「久堂家の家系を継ぐと、こんなにも扱いが変わるとは。」

もしかしたら、学校でも楽しい生活が待っているかもしれない。これからは、久堂家の恥晒しなどと言われなくてもすむかもしれない。

そんな期待が、今も私にはある。

「頑張ってみようかな」


私は、もう少し頑張ってみることにした。


「海紗お嬢様、学校の身支度のお手伝いに参りました。」

「どうぞ、入って。」


身支度を終わらせ、家を出る。今日は髪を少しおしゃれにしてもらった。

「お父様、お母様、行ってまいります。」

「行ってらっしゃい。」


学校までの道がこんなにもワクワクとした気持ちで行けたことは今までにはなかったな。

学校までは、もう少し。

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