1話:新たな波紋
いつも通り早朝の光が差し込む部屋で、エイダ・レヴィーンは目を覚ました。カーテンの隙間から入り込む柔らかな陽光が、彼女の顔を照らす。深く息を吸い込み時計を見ると、朝六時前。ベッドから起き上がると、エイダは習慣的にテレビのリモコンを手に取り、ニュースを流し始めた。
アナウンサーの声が部屋に響き渡る。「おはようございます。 今日の主なニュースをお伝えします」ニュースキャスターが伝える今日のヘッドラインに耳を傾けながら、エイダは鏡の前に立ち、栗色のセミロングをポニーテールにまとめ、軍服をきちんと着こなしていく。
一通りしたくを終えると、鏡で身だしなみを確認する。身長170cm。軍人として鍛えた体格は、平均的な女性よりも厚いがしなやかな筋肉を備えており、無駄のない引き締まった体系が軍服を際立たせていた。
両手で頬を軽くたたいて顔を上げると、鏡に映る深い青色の瞳が自分を見つめ返していた。やや丸みを帯びた顔立ちながら、あごにかけてすっきりとした輪郭を描き、切れ長の瞳が印象的な顔立ちをしている。
「次のニュースです。 日本が実験に成功したと発表した『マナシンクロナイザー』が、国際社会で大きな波紋を広げています。 この薬剤は、マナチャンネルを持たない人々にも一時的に魔粒子を用いた技術を使用させることができるというものです。 日本政府は平和的な技術応用を主張していますが、いくつかの国、特に中国国防省が、この技術が軍事利用されることを懸念し、強い反対を表明しています」
国務省の要請により、アメリカ国防総省から外交武官として派遣されることになったエイダの注意を引くニュースが流れる。アフガニスタンから帰還後、エイダは統合参謀本部付の少佐となっていた。つまりは諜報将校ということだ。
エイダの所属するアメリカ魔法軍は、第二次大戦後に空軍と同時期に設立された部門だ。理想的な魔法兵力をつくりあげるべく、陸軍と海軍に所属していた魔法使い部隊の良い要素だけを選んで作られた魔法軍は、他軍と比較して独自のシステムを備えていた。(他軍も独自に魔法使いの採用を続けている)
その一つが昇進システムだ。軍隊は階級がモノを言う世界だ。設立当時、陸軍や海軍と同等の影響力を持つため、魔法軍(空軍も同様だが)は年次が若い将校であっても、能力さえあれば早めに昇進させてきた。(兵であっても優秀であれば、上官の推薦により30歳ほどには少尉に任官され士官への道が開けた)
2021年げんざい、魔法軍はすでに十分といえるほどの影響力を持っていた。しかし、魔法使いは軍隊よりも会社への就職を選択するようになって久しく、アメリカ軍そのものへの入隊者数じたいが少しずつだが右肩下がりであった。危険はないし、給料の高い方をキャリアに選ぶのは、平時だと当然の人間心理だった。
魔法軍は影響力を維持するため、現在も他軍より早い昇進システムを採用している。これには二つの目的があった。一つは入隊者数が減る中でも十分な階級を持つ将校を一定数確保し続けること、もう一つはやりがいを求める若者の入隊意欲を高めることだ。早期昇進と重要な職務の委任という制度は、性別や年齢ではなく、能力主義を重んじるアメリカの文化に沿うものではあるが、それでもやや行き過ぎた印象は否めなかった。他軍の中には、魔法軍の階級は実際のそれより1つ下くらいにみなす者もいるほどだった。
アメリカ軍では、士官学校出の将校が順調に昇進した場合、だいたい30歳から35歳で少佐となる。エイダはげんざい28歳。能力を認められ、軍全体の平均よりも若く少佐となり、『マナシンクロナイザー』に関わる諜報将校という重大な仕事を与えられた。魔法軍の設立より続く習慣、そういうことだった。(エイダは自身の能力に懐疑的なこともあるが、アフガニスタンでの任務のように、数百人を相手取ることができる部隊指揮能力と魔法への深い理解による高い戦闘力は評価されていた)
そんな事情でやっとこ大尉から少佐となり、諜報将校となったエイダは、連日放送されている一大ニュースを聞きながら眉をひそめた。ついこの前まで、アメリカ軍のアフガニスタン撤退のニュースばかりが流れて世間を賑わせていたのに、もう別のニュースが連日と言わんばかりに繰り返し報道されている。
アメリカが撤退する最後の航空機に、アフガニスタンの人々がしがみつき、飛び上がった航空機が助かるとは思えない高度に上がったのち、当たり前の結果として人々が航空機から振り落とされていた映像が脳裏に蘇る。
特殊魔法作戦群m分隊の隊長として従事していた任務で、一つの村を見捨てた事実、そしてその記憶。見捨てたアフガニスタンの村民の悲痛な叫びが聞こえてくるようで、つい一ヶ月前まで、エイダは何度も悪夢で寝汗をかきながら飛び起きていた。本人は認めないが、あきらかに戦争ストレス症候群の兆候であった。ニュースの音声に、エイダは現実に引き戻される。目の前には新たな任務が待っているのだ。思い悩んでしまうことを、仕事の忙しさで忘れたいエイダにとって、昇進とそれに付随する新しい役割はありがたいことだった。
「魔法を使えない人が魔法を使えるようになる……」悪夢を振り払うように、エイダは心の中で呟いた。科学技術の発展により、マナチャンネルを持たない人々の社会進出は進み、魔法使いとの格差は是正されつつある。
しかし、マナチャンネルの有無(魔法を使えるかどうかの有無)による格差は、現代社会でも確かに存在し、今なお社会問題として残っていた。そして魔法技術は確かに国力に影響を及ぼし、それは国際競争力の差につながっている。科学技術の発展により、その格差はほとんど是正されたといっても良いが、それはあくまで先進国だけの話であった。十分な教育システムが国民の義務として確立している先進国は、魔法が使えなくとも、高度な知識やスキルを持って十分に社会で活躍することができたからだ。言い換えると、国内の教育インフラが十分ではない発展途上国では、今なお格差は残っているということであり、資本主義がその格差を広げていることは皮肉としか言いようがない。
マナシンクロナイザーは、非魔法使いに、魔法技術へのアクセス機会を与えることで、社会の平等化を促進する可能性がある一方で、既存の秩序を大きく揺るがす可能性も秘めている。また、使われ方次第で一部の特権階級を作り出し、より深刻な格差を生む懸念もあるだろう。
この技術が平和的に利用されることを望むが、現実はそう甘くない。それに、実際にどの程度まで確かな成果が出ているのかも怪しいところだ。
日本が発表した成功報告は華々しいが、実際の技術がどれほど安定しているかは不透明だ。実験段階では予期せぬ事故も起こり得るし、制御が難しい状況が発生することも考えられる。エイダは、こうした革命的技術が最初は期待を集めながらも、後に予想外のリスクを伴うことがあるという話を、これまでに何度も耳にしてきた。
朝食を手早く済ませ、コーヒーを飲みほした後、エイダは玄関へと向かった。重厚な扉を開け、外の空気を深く吸い込む。朝の清々しい風が頬をなでる。一瞬目を閉じ、これから始まる一日に向けて心を落ち着かせた。
車に乗り込み、エンジンをかける。ひと昔前は、魔粒子を動力にする車しかなかったそうだが、化学エネルギー利用の発展により、内燃機関車も普及している。エイダの車もそのひとつだ。彼女は環境への配慮から、ハイブリッド車を選んでいた。
エンジン音を確認し、シートベルトを締める。次に、端末に手を伸ばし、お気に入りのプレイリストを再生する。スピーカーから流れ始めたのは、いつも心を落ち着かせてくれるクラシックの旋律。彼女にとって、これが一日の始まりを切り替えるスイッチだった。
ワシントンD.C.の朝の交通に身を任せながら、エイダは一ヶ月ほど前に受けた軍病院の心理カウンセラーによるメンタルケアのことを思い出していた。
エイダはアメリカに帰国後にすぐ、軍病院のメンタルヘルスケア部門の部屋の前に立っていた。ノックをして、「どうぞ」という声の後に入室すると、足を組んでいる心理カウンセラーのドクターがいた。
背後には日が差し込む海中に、子供の頃に見たアニメーション映画に出ていた魚や名前も知らない魚が優雅に泳ぐ神秘的な映像が流れている。
入室の数秒後、おそらく夫婦と二人の子供、家族なのだろう、そして猫が牧歌的に時間を過ごしている映像に切り替わる。妙に落ち着く雰囲気の部屋だ。
カウンセラーの前には大きな机があり、その前には自分が座るのであろう椅子が鎮座している。机の上には、いくつかの書類があり、いつから入っているのかわからないキシリトールのガムが透明なガラスのコップに入っていた。
「レヴィーン少佐、今日は来ていただいてありがとうございます。 どうぞ、おかけになってください」
ドクターが勧めてくれた椅子に腰掛けようとしながら、「そのガム、いただいていいですか?」と無意識に声が出た。
ドクターは少し苦笑しながら、「いいですが、自己責任でお願いしますね」と答える。
エイダは手を伸ばしてコップを傾けると、彼は続けて言った。「かなり古いですよ」と見たままのことを答える。
コップのガムにさして興味があったわけではなかったので、エイダは無言で席についた。
「さて、レヴィーン少佐。 レポートを拝見しました。 悪夢を見るようですが、帰国後、症状は改善していますか?」
「はい、ドクター。 改善しています。 最近はよく眠れています」
ドクターは何かを、カルテだろうか、書類に書き込んでいる。このやり取りで何がわかったというのだろう。
「帰国当初は、そうですね……。 道ゆく家族づれを見ていたら、レポートを見たと思いますが、アフガニスタンで最後の任務についた時の村にいた家族を思い出して動揺していたのですが……」
エイダは少し頭を振って続ける。
「今はなんともありません。 ええ、ドクター。 それは改善と言えるのではないかと思います。 ドクターの見立てはどうでしょう?」
ドクターは再度書類に何かを書き込んだ後、ゆっくり顔を上げて、まっすぐに目を見てきた。
「そうですね、少佐。 結論を急ぐ前に少し会話をしましょう。 最近は、休みの日は何をされていますか?」
「ウィンドウショッピングをしたり、美味しいものを食べてビールを飲んで、映画をみたり。 猫の動画を見たりしています。 これはなんの意味がある会話なのですか?」
「良い傾向ですね、レヴィーン少佐。 意味とかは置いておいて、ひとまずは会話を楽しみましょうよ。 猫が好きなのですか?」
「……はい。 飼ったことはないのですが、猫を見ていると、なんとなく癒されます」
「ふむ、猫のどんなところがいいですか? どんなところに癒されます?」
「可愛い、ということがまずあります。 ふみふみしているところ、グルーミングしているところ、猫の仕草であれば、なんでも愛らしいと感じてしまいます。 あと、猫の動画には不幸せになる人が出てこない。 幸せな空間が広がっている。 そこが素晴らしいところです」
「なるほど、私は猫を飼ったことはないですが、今度動画を見てみようかな。 飼おうとは思わないのですか?」
「飼いたいですが、仕事柄なかなか決断できません」
「まあ、そうですね。 レヴィーン少佐のお国への貢献に感謝を。 映画も見ると言われていましたが、どのような映画を? 最近は何を見られました?」
「……いくつか見ていますが、そうですね、印象に残ったのは、『フルメタルジャケット』というベトナム戦争を描いた映画です」
「フルメタルジャケット! 少佐のメンタル状況で戦争映画を見たのですね。 結構痛ましいシーンが目立つ映画でしょうに。 ちなみに私は好きですよ。 少佐はどうですか? どのような点が印象に残りましたか?」
「荒療治と言いますか……。 何となく映画の先に共感を得たくなってしまい……。 印象はそうですね、訓練時代を思い出していました。 鬼軍曹がいて、訓練で理不尽な思いをさせられているシーンです。 私も一時は教官を憎んだものですが、それは戦場に出るために必要なことだということに、非常に共感しました。 他にもいくつか印象に残る点はありますが、まずはそんなところです」
「ふむ、訓練で理不尽な思いをすることが必要であると、それはなぜですか?」
「戦場では、予測不可能なことが何度も起きます。 また、軍隊とは上位下達の組織であり、命令には絶対従う必要があります。 そうでなければ、命をかける戦場で、なすべきことを為せません。 自身の感情を排して、目的の達成を最上とする癖をつける。 そのために、訓練から理不尽な思いを経験する必要があります」
「なるほど、よくわかりました。 あのシーンにはそのような意味が込められているのですね。 勉強になりました。 さて、レヴィーン少佐。 辛いでしょうが、少佐が経験した任務のことを振り返ってみましょう。 繰り返しになりますが、レポートを拝見しました。 少佐はあの任務について、どのように考えていますか?」
「考えるとは? 何を指して聞いているのでしょうか?」
「深く考えずに、思ったままを答えていただければと思います」
「……あの時、村長が裏切り、私たちm分隊を武装勢力に差し出したことは、そういうことが起きるかもしれないことは想定しておくべきだったかもしれませんが、致し方ないことだと思います。 村長の置かれた状況を考えても、彼の選択には同情の余地があります」そう答えてエイダは目を伏せる。
「続けて」ドクターが促してくる。
「その後の戦闘状況については、レポート通りです。 私としては、適切な判断を下し、誰一人部隊が欠けることなく生還できたことを誇らしく感じています。 最後の命令と結果的に村に起きたことについても……政治的な判断の上で下された命令であると、今では納得しています」
「そうです、少佐。 少佐はまず、ご自身を含め部隊を生還させたことをこそ誇りに思うべきでしょう」ドクターは一息入れて続ける。エイダは無言のままだ。
「そして、少佐のいた村に起きた出来事は、少佐が引き起こしたものではありません。 虐殺を行ったのは少佐ではないですし、村からの撤退はあくまで命令です。 事実を認識することは重要ですが、必要のないところで自身を責めるのは、やめにしましょう」ドクターは、メガネを人差し指で位置を直しながらこちらをまっすぐ見てくる。言われなくともわかっていることをつらつら並べ立てられ少し苛ついている自分に気づいた。
「どうですか、レヴィーン少佐。 少佐はまた先の任務のような状況に置かれた時、誰かを見捨てる判断ができそうですか?」
「はい、それが必要であれば……」できるわけがないだろう、反射的にそう言いたくなりつつも、必要であれば実行可能な自分に嫌気がさしつつ、また、それを客観的にはわかっているので、そのように答える。
「よくわかりました。 さて、見立てですが、少佐ご自身がよくご存じでしょう。 時間はかかるのでしょうが、ご自身で消化できているのではないでしょうか。 少佐は星条旗に忠誠を誓う軍人であり、引き続き職務に忠実であり続けるように見えています」ドクターは書類に何かを書き込んでいる。今度は走り書きではなく、それなりの長さの文を書き込んでいるようだ。
「少佐、本日はお時間ありがとうございました。 今日も美味しいものでも食べて、お酒でも飲んで、映画を見て、猫の動画を見て一日を楽しんでください。 お疲れ様でした」
「ありがとうございました」そう言いながらエイダは立ち上がり際に、ドクターの机に手を伸ばし、透明なコップからガムを一掴みした。一瞥した後、ガムを口一杯に頬張って部屋を後にした。
車を運転しながら、何度目かになる、なんであんなことをしてしまったのだろう、という気持ちが湧いてくる。
たち去り際に勧められていないガムを食べた、自分の中で説明のつかない子供の駄々のような行動に、今でも苦笑してしまう。何度思い返してもムカつくドクターだ。一方で、カウンセリングの内容も何度も思い出してしまう、まだ忘れられていないのか……。
実のところ、忘れたくない気持ちがエイダにはある。あの時、あの任務で実際に起きたこと。あの村には、人々が暮らしていたこと。血の通った人間同士として、確かに交流を持ったこと。基地に帰投後、感情調整魔法が切れた後の気持ち、心。それらをエイダは忘れたくないと思っている。感じたことを無かったことになんてしたくない。なかったことにしていいなんて到底思えない。
しかし、忘れたくないことと、過去に囚われて、目の前の仕事に支障をきたすのは別の話である。そしてドクターの話も一理はあるのだ。感情の向くままに振舞うのではなく、事実に向き合う。そうでなければプロフェッショナルではないと自省し、エイダは頭の中で、今日の予定を整理することにした。
目的地は国務省。今日はまず、日本から来る外交官との会談が控えている。彼らから、マナシンクロナイザーについての技術的な説明を受ける予定だ。
日本の革新技術が世界的な議論を引き起こしている今、その詳細をしっかりと把握することが、アメリカ軍の立場を強化する上で重要だ。また、日米安保条約に基づく協力関係についても議論する必要があるだろう。マナシンクロナイザーの技術が日米同盟にどのような影響を与えるか、慎重に検討しなければならない。
技術の概要を理解した後、国防総省の本庁舎であるペンタゴンに行き、上司であるジェイムズ・コールマン大佐との会議に臨むことになる。彼とは、マナシンクロナイザーの軍事的リスクや戦略的価値について共有し、アメリカ軍としてのスタンスを詰める予定だ。
そんなことを考えていると、国務省近くのナショナルモールの豊かな景色が目に入った。いまは10月、豊かな緑が美しい紅葉に変わっていく様は美しかった。秋、ワシントンD.C.のベストシーズンだ。実にアメリカらしい大きく、象徴的な公園で、朝の光を浴びた広大な芝生や木々が、エイダの心を一瞬だけ和らげる。モールを散歩する人々やジョギングを楽しむ人々の姿が見え、平穏な日常が広がっていた。
しかし、その穏やかな空気に反するかのように、突然大勢の人がいることに気が付いた。マナシンクロナイザーのニュースに反応したデモ隊が国務省の前に集まっているのが見える。彼らは様々なプラカードを掲げ、声を上げている。
エイダは車の窓を少し開け、彼らの主張に耳を傾けた。「マナチャンネルは、神から与えられた神聖な力だ! それを人造で複製するなど、冒涜だ!」群衆の中から、そんな叫び声が響き渡る。プラカードには「魔法を汚すな!」「技術で神の領域に触れるな!」といった宗教的なスローガンが書かれている。
一方でこのような主張も見られる。「マナシンクロナイザーは平等の象徴だ!」「技術の進歩を止めるな!」といった声も聞こえる。プラカードには「全ての人に魔法を」「科学の力で格差をなくそう」などの文句が書かれている。まるで世界が発狂しようと決意したかと感じるような人々の熱気が車内にまで伝わってくるようだ。
この技術が社会に与える影響の大きさと、それに対する人々の複雑な反応を改めて実感しつつも、デモ隊を横目に見ながら、エイダは国務省の駐車場に車を入れた。セキュリティチェックを通過し、エレベーターに乗り込む。
日本の外交官との重要な会談に向けて、エイダは緊張してきているが、一方でマナシンクロナイザーに対する知的好奇心からくる期待がないまぜとなってムズムズしている自分に気づく。軍人としての義務感や職責から来る緊張感と、知的興奮から来るワクワクという、ともすれば矛盾する感情を同時にいだく自分に苦笑した。
とはいえ、今日の会談の重要性を考えると、プロフェッショナルとしての冷静さを保つ必要がある。エレベーターのドアが開くと、エイダは背筋を伸ばし、自信に満ちた表情で一歩を踏み出した。
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