第20話
ユルリッシュがお茶を入れている間の時間を繋ぐために、ずっと私を見ているアレス様に問いかける。
『アレス様?何かしたいことはありませんの?』
「したいこと?あるな。」
『あ、婚約以外で、』
先に条件を提示する。私がそんな子供だまし引っかかるわけありません。先ほどは口車に乗せられてアレス様を庭に連れてきてしまいましたが、2度も同じ失敗は繰り返しません。
「フッさすがだな。まぁいい。俺がしたいのはメリア嬢と話かな。今までゆっくりと話したことが無いだろう?それが気がかりでな。俺とお話頂けますか?メリア嬢?」
『いいですわ。お話しましょう。でも何を?』
「じゃあこちらが質問するから答えて欲しい。構わないか?」
『えぇ、答えれることは答えたいと思います。なんなりとご質問ください。でも難しい質問はご遠慮いただけると嬉しいですわ。』
急に政治のことなんて聞かれたら困ります。お父様が基本を担っているし、補佐はお兄様がしているから私の関わる場所なんてほとんどありませんもの。アレス様は第1王子ですから、お仕事をお手伝いなさっていると思いますが。
「そんな構えなくていい。簡単な質問だけだからな。気楽に話そう。」
『そうですか、それでしたらどうぞ。』
「じゃあまず一つ目。メリア嬢の好きな色は?」
『はい?』
何をお聞きになられているのでしょうか?驚きすぎて心の声がつい漏れてしまいましたわ。
「だから好きな色だよ。教えて?」
笑顔で出会ったばかりの婚約者たちが行うような質問をしてくる。
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