第8話
無言で歩くアレス様にどこに行くのだろうと思いながらもついて行く。
疑問に思いながらもついて行くと、そこは昨日も1人で訪れた私の好きな庭だった。
今日も手入れされたバラが美しく咲いている。
「あなたはここが好きでしたよね。」
『え、えぇ。よくご存じで。』
「婚約者の事ですので。」
アレス様に演技なしの姿で話すのは久しぶり過ぎて、どう接したらいいか分からない。
それに、今日のアレス様はいつもの私に対して嫌悪感を抱いているような接し方ではなくて、昔の雰囲気が戻って来ている気がするのは気のせいでしょうか。
『アレス様、用事とはどのような「長い戦いとはなんだ?」
無言に耐えきれなくなり、要件を伺おうとすると被せるように質問をされる。
それにその内容、私が昨日ここで話したことと同じだ。
『え…』
「昨日そう言って君は1人ここで喜んでいたな。なぜだ?婚約破棄を言い渡された後だったというのに。」
『どうしてそのことを?』
完全にばれている状況に冷や汗が止まらないが、情報の出所を確認しなければならない。
正直どうでもいい内容ではあるが、少しでも頭の中を整理する時間が欲しい。
「昨日、別れ際の君の雰囲気に違和感を感じて、申し訳ないとは思ったが後を付けさせてもらった。すると、そこには婚約破棄に悲しんでいる君ではなく、喜んでいる君がいた。」
『‥‥。』
「説明を頂いてもいいかな。メリア嬢。」
声がいつもよりも低い。これは完全に怒っていらっしゃる。それより問題は、アレス様は怒っているとき自分が納得するまで相手を問い詰めるのが決まりだ。
これは本当に大変なことになりました。
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