第1章

第1話

メリアside


「婚約破棄したい。」


ここは彼の国の城の一室。そこで私は今婚約破棄を告げられている。


私のことを真っ直ぐに見る目は出会ったころと変わらない。しかし、唯一違うのが私のことを見る目に嫌悪の影が見え隠れしていることでしょうか。


そんなことを思いながら、私も目の前の方を見つめる。


『ど、どうしてぇ。婚約破棄なんて嫌だぁ。』


彼を見つめる目に涙を浮かべ、その場にしゃがみ込む。


気配で分かります。そんな私を彼は冷めるような目で見ているのでしょう。


「昔の君はそんな女性ではないと思っていたのだが、勘違いだったようだな。」


『そんなぁ、私、アレス様に愛されるためにたくさん努力したのに・・・。』


ハンカチを濡らしながら、アレス様に考え直していただくように訴える。


それでも彼の心は変わらないようだった。


「俺の気持ちは変わらない。リア・・・いやメリア王女殿下。この時をもって俺たちの婚約は破棄だ。父上には俺から伝えておく。」


勝った。


彼の強い意志の籠った言葉を、心に刻み流れる涙を止めその場に立つ。


『アレス王太子殿下、婚約破棄とのこと承知いたしましたわ。お父様にもこの旨、説明させて頂きます。それでは失礼いたします。』


今まで話していた客室を出て、近くの私が好きな庭へと出る。


庭の少し奥へと行き、そこにあったベンチに腰掛けると同時に今まで入れていた肩の力を抜く。


『やっと、やっと、この長かった戦いが終わりましたわ。』


マナー違反ではありますが、侍女も付いてきてないことをいいことに、拳を握りしめ何度も空へと上下する。


ここまで本当に長かったですわ。アレス様の嫌いな女性を完璧に演じて、演じて、演じ続けて。今日やっと、彼から婚約破棄の言葉を頂けた。


アレス様には大変申し訳ないことをしてしまいましたが、いつか私以上に素敵な女性が隣に立つことになるでしょう。


その時は心から祝福して致しますので、今は許していただきたいです。


真実を知らないアレス様に謝罪をしたところで、お父様に報告するために軽い足取りで今までいた庭を出る。


まさか、その光景を見ていた人物がいるとも知らずに・・・。


****


大変長らくお待たせいたしました。作者の あおい と申します。


本日より本編の投稿開始いたします。


今後の公開予定の日程に関しましては、作品紹介欄をご確認ください。


作品を通して皆様にお会いできたこと心より感謝申し上げます。


これからもよろしくお願いします。


2024/12/26 あおい


****


誤字脱字等ある可能性があります。ご了承ください。

作者が定期的に確認しておりますので、見つけた場合は反応せずそのままにしておいてください。


誹謗中傷に関してもご遠慮いただいております。

見つけた場合は、それ相応の対応をさせていただきます。


本作品は他サイトで公開していた作品の総編集版です。


コメント、フォロー活動の励みになります。本当にありがとうございます。


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