最終話
【火を消す】
マグカップにコーヒーの粉を入れお湯を注ぎ、かき混ぜる。ガウンを着て、ベランダに出る。早朝の清々しさ。肌を撫でる様に、風がふく。太陽が私の細胞をすり抜け、体の中でエネルギーが構築されていくのを感じる。コーヒーを飲む。寒さは私の体を鋭敏にし、コーヒーが今どこを通っていくかが明確にわかる。白濁とした息。これで自分の中で、何かしらのスイッチの切り替えをする。すると、後ろかるでを回し、程よい圧で私を抱きしめる。
「おはよう」
「おはよう」
私は後ろを向き、キスをする。私はこの人と出会えてよかった。この人と紡いでいく一日一日が、たまらなく愛おしい。ただ私のことを愛してくれるこの人と、私は今日も生きていく。
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