現代ダンジョンというジャンルにおいて、配信要素が定番となりつつあるが、同じぐらい配信と相性が良いジャンルがある。それがホラーだ。そして本作は配信という設定を使って、現代ダンジョンとホラーという異なるジャンルを一つにまとめあげた意欲作。
四国の山奥にある初心名村で暮らす高校生の茅葺三郎は妻の勧めでダンジョン探索を配信するようになる。ここまではよくある展開だ。だが、彼の背後には常に村の神様である【うぶなさま】が連れ添っている。怖い。このうぶなさまはとても愛情深いのでモンスター討伐も手伝ってくれるし、お供え物を食べてお腹がいっぱいになると願いごとを叶えてくれる。可愛いね。ちなみに三郎が配信をする目的は村を有名にして、外部からより多くの「お供え物」を呼び寄せるためである。やっぱり怖い……。
三郎視点で語られる探索シーンは周囲の人間の不穏な発言もあって完全に因習村ホラーだが、配信のコメントや掲示板のリアクションは対照的に極めて軽薄で、この異様なミスマッチが独特のムードを醸し出している。その一方で、村の外部の人間が村とうぶなさまに隠された多くの秘密を探ろうとするミステリーの側面も併せ持ち、複数のジャンルを一つに取りまとめた唯一無二な怪作に仕上がっている。
(「ダンジョン珍百景」4選/文=柿崎憲)
ダンジョン配信は舞台が現代である。
因習村ホラーも、まぁ最近はなかなかやりづらくなったけど一応舞台を現代に出来る。
故に、因習村ホラーとダンジョン配信は融合させられる。
……誰が思いつくねん、こんな発想!!
というわけで本作は現代ダンジョン配信モノでありながら、その根底におどろおどろしい因習ホラーが渦巻く奇作、怪作、そして傑作である。
ホラーと配信者が相性が良いことは昨今周知のとおりだが、そこにダンジョンを持ってくる発想はなかった。完敗である。
しかもこの作品はコンセプトの勝利だけに留まらない。
インターネットによって繋がった因習村と外部のギャップ、湿度の伴った因習描写、可愛らしくも恐ろしいヒロインたち、配信形式であることを利用した、掲示板や他媒体を交えて描かれる考察を掻き立てるモキュメンタリーホラー風の構成……と、ダンジョン配信ものとしても因習村ホラーとしても手抜きのない真摯さを見せつけながら、とにかく高い実力で先を読ませるのだ。
他に類のない、まさに唯一無二の怪作。是非ご一読をオススメする。
初挑戦ジャンルに長編を投下してランキング7位! えっそれで(ランキング上位陣を倒せないので)才能ないとかおっしゃるのか? あっ作品見たらよく聞くダンジョン配信ものだけど、ホラーの香りがついてくるじゃん、読も!
というなんか不純な理由で読み始めました。
するとまあ、文章読みやすい……あっ面白い……あっ合間合間に挟まれる情報や記録がホラーを煽ってくる……えっそこ伏線なんだ!? いや巧ぇ! 普通に無茶苦茶巧いわ! 才能ないとか言われたらこっちが絶命するわ!!
創作論にガッチリ詳しい(らしい?)くてそれを実行できて、かつセンスもないとこうはいきませんよ! うおおん……因習村や神さまの扱いにその発想はなかった! となり、文句なしの面白さです。