第27話 不可能を知れ
かあかあと
「……とんでもない、数」
木葉が吐息と共にこぼした。物々しい光景に二人はうず高い丘の上から
「ここまで来て、打つ手なしかよっ……!」
たった二人きりで
「待機させていた応援を呼んでみるわ。できるだけ近くまで来てもらってはいるけれど、ここまで辿り着くのにどれくらい時間がかかるか……。光希、ごめんなさい。こうなってしまったのは私のミスだわ。まさか、こんな、
目を見れば、木葉が光希を
「おれだけでも、行ってくる。天宮を放ってはおけない。ましてや、こんな場所で独りになんてできない」
木葉が目を見開いた。
「何言ってるの!? 死ぬつもりなの!? だって、この数、あんたでも無理よっ!」
「でも時間がないっ! 奴らが天宮を殺すかもしれないと、そう言ったのはおまえだろっ!?」
「っ!」
顔を歪める木葉を置いて、光希は立ち上がった。ざぁと草木の間を生ぬるい風が吹き抜ける。不可能だ、愚かだ、と少年の蛮勇を嘲笑うように。
「木葉、あれの使用許可は?」
「……下りていないわ。でも! 交渉はしてみる。できるだけ早く」
「頼んだ!」
叫んで、光希はすらりと刀を抜いた。刀が纏う蒼炎が、終わりを知らない夜の中で星のように煌めく。光希は口の端を吊り上げ、不敵に笑う。負けることなんて知らない、と告げるように。
「待ってろ、天宮」
「『
駆けてくる
「『
白い羽が光希を中心に乱舞する。風の刃を放つかまいたちと同系統の術式。けれど、殺傷能力はかまいたちの比ではない。白い羽に触れれば、たちまち千の刃に刻まれる。
蒼い炎を纏う刃が夜を斬る。残光は焼き付いて、獣たちを惑わせる。一振りで五、六の
「うぐっ!」
爪が光希の肩を抉った。痛みが右肩から這い出す。光希は歯を食いしばって痛みを飲み干し、光希の血で爪を汚した
「くそっ、まだなのかよ、木葉。せめて、許可だけでも取ってくれればっ!」
悪態をついて肩を庇いつつ、雷を放つ術式で
際限なく襲い来る
「ああああああっ!」
叫びながら、刀を振るう。斬って、斬って、斬って、斬っても、
肩で息をした。刀がどんどん重くなる。四肢が切り傷と酷使に耐えかねて軋んでいる。
「……でも、天宮を、見つけない、と」
一瞬視界がぐにゃりと歪んだ。疲労によるものだろう。けれど、戦場においては刹那がすべて。まばたきをする間の時間が命取りになる。
──喰われる。
そう思った。
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