第2話

「な、なんだ?」


風が止み目を凝らしながら風のもとを確認した。


「グルルルルルルッ」


大きな見たことのない白い竜のような生き物がこっちを見て威嚇している…。


オノしか持っていないぞ…この平和の森にこんなに敵意むき出しの大きな竜が出てくるなんて、

逃げても家族が…戦うしかないのか。

なんとか体制を整え、無理があるのは承知の上でオノを構え、この大きな生き物に向き合い足を踏み出した。


「ダメーー!待って!この子を攻撃しないで。この子はあなたに威嚇してるわけじゃないわ」


黒髪の珍しい赤い目をした女の子が走ってきたのかぜぇぜぇしながらこちらに向かって叫んだ。


その瞬間大きな生き物は羽を広げながら爪を立てて腕を振り上げる。


「じ、じゃあこの竜は何に威嚇しているんだ!?」


「わからない。けど大丈夫!信じて!」

「わかった。信じる!」


ベインは本当に信じていいのか少し不安な気持ちもありながら斧をギュッと構えた。


竜が腕を振り下ろすとその勢いにブオンと風が吹く。


そして竜は何かを感じ取ったのか一点を見つめた後、空高く飛び上がり風を起こし、

そのまま女の子のほうへ勢いよく落下したためベインは慌てて黒髪の少女を助けようと覆いかぶさりぎゅっと目を閉じた。


…あれ?何も起こらず不思議に思いながら目を開くと女の子が

「…重いから早く退いて」と冷静に言う。

「え、あれ?竜が君に向かって…」

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