【5】「ッ〜〜!!!!!」
「何と……では、アキヒロも命を狙われているのか?」
翌日、何とか話ができるまで回復したヒーリアは、
俺との会話を求めてきた。
ここより遥か最東部にある故郷の話や、
自分とよく似た兄の話など、
ヒーリアは、自分のプライベートな話を好んで語った。
そんで語り手が変わって、
今は、俺が暗殺者に追われている話だ。
「そうなんだよ!!そいつさ!!
メイドになりすまして、俺の事を殺そうとしたんだ!!
ひどい奴だよ!まったく!!」
「うーむ。しかし、話を聞く限りでは、
あまり頭のいい人間じゃないな」
「そうそう!!めっちゃバカでさ!!
簡単に逃げられたし!!」
「そうか。しかし、それで私は助けられたのだから
あまり馬鹿にもできまいさ。
それで…その女は、何を盗もうとしたんだい?」
「あーこれだよ…この短剣。
なんかレアな武器らしいよ?」
「んん?……これは……」
「お?何かわかるの?」
「いや。昔…兄が使っていた剣にデザインが似ていたのでな。
しかし、勘違いさ。これはダガーだろう?
兄の剣はロングソードだった」
「そっか……」
やっぱ殺してしまった、お兄さんの事、
責任とか、未練とか感じてんのかな?
「……ぁ……そうだ…その……
少し…言いづらい事を言うのだが…いいかな?」
「ん?なに?」
「あまり…声に出すべきではないと、
思ってはいるんだが……
その……私も君も…臭うとは思わないか?」
「におう…?」
におう……匂う?
いや、臭う……か?
「俺……くさい?」
「やや!!勘違いをしないでおくれよ!!
君が…と言う意味じゃない、君も…というか
私達2人共だと思う…なので…精神衛生上、
湯浴みのひとつでもしたいのだよ」
だいぶ言葉を選んでくれたのが、分かるな。
その証拠にヒーリアは、紫色の瞳を
キョロキョロとさせて気まずそうだ。
と言うか……彼女が汗臭いのは……
俺の汗のせいじゃないかしら?
やだ。申し訳ないのだわ。
「それと……もうひとつ頼みずらい事があって…」
「なんだい。言ってみなよ」
「そのだな……私は、まだあまり…動けないので…
君に…体を拭いてもらいたい」
「いいねぇ!!やろう!!
今すぐやろう!!さぁさぁ!!」
「ぉ…おお……すまないね。
それでは、湯を沸かして貰えるだろうか?」
「よしッ!!お任せあれぇッ!!!」
……あっ……しまった!!!」
「ん?…どうしたんだい?」
思い出した!!
湯を沸かそうにも鍋が錆びてる!!
赤錆の浮いたお湯で、体は拭きたくないぞ!!
「ヒーリア。この鍋を見てくれ……こいつをどう思う?」
「すごくサビサビだな…これはよくない。
よし。リハビリがてらやってみよう」
「何かアイデアが?」
「その鍋を私の近くへ」
ヒーリアの指示に従い、
ベッドの近くに鍋を置いてみる。
いったいなにを始めるのか……
「よし。いけるな」
ヒーリアが、そう言うやいなや、
朽ちた赤茶色の鍋が、
瞬く間にシルバー色をした、
本来の姿を取り戻す。
「うわぁ!すごい!!
これ魔法じゃないかッ!!」
あるあると、言われてはいたが、
この目で見たのは、初めてだ!!
タネも仕掛けもない、本当のマジックがそこにあった!!
「ふふ〜ん!こんなもの、私からすれば
息をするよりも簡単だよ」
「すげー!!よし!!
これでお湯が沸かせるぞ!!」
ヒャッホーッ!!
お楽しみの時間だぜぇ!!!
————————————————————————————————————
「……そ…そそそ…それじゃぁ…
や……やるけどぉ…ほん…本当にいいの?」
「ああ…よろしく頼むよ」
湯が沸くと、ヒーリアは恥ずかしげもなく
そそくさと肌をさらすと、俺に背を向けて正座した。
流線形の、柔らかそうな輪郭が、すぐ目の前にある。
俺はもう、辛抱たまらん気持ちで、
息が荒くなり、手に持つタオルを握り潰しそうだ。
生傷の跡があるものの、
肩まである髪を、一つに
うなじが露出して……こう言うのを
「で……では…失礼します」
湯をたっぷりと含んだタオルを、
優しくその背中に当てがい、ひと撫でする。
滲み出た湯の雫が、ツーっと、その肌を
もとより
「ふふ……そんな、壊れ物に触れるでもない。
もっと強くしてくれて、構わないよ」
「あっ……ああ…そっか……よし」
言われるがまま、背中をゴシゴシと拭き上げると、
その度に柔らかそうな肌が、もっちりとたわんで……
もうなんか…バキバキになっちゃうよね!
「こんなもんか……じゃあ…次は……」
煮え
首筋…腕…腰と順に拭いていき、
ついに、その領域が胸部に差し掛かった。
「……よぉ〜し…じゃぁ……前も洗いますかーっ!!」
「あぁ…いや。前は自分でやれるさ。
ありがとう」
……………………………
「………いや。チャレンジさせてください」
「…チャレンジ?…いや、そんな手間をかけなくても」
「自分!!中途半端は嫌なんです!!
どうか!!どうかお願いします!!!」
「お…おお……そうか。
じゃあ……お願いするよ」
っしゃぁああっ!!!!
いけた!いけたで!!
強引にやりきったでぇ!!
「では……失礼……」
「……………」
「…ッ!………ッ!!………ッ!!!」
「……………」
「………ッ……?……ッ!?……ッ!!!」
「……………」
「……ッ!!………ッ!!!……ッ〜〜!!!!!」
「なぁ…あまり乳房ばかり触るんじゃない。
まったく君は、男性なんだなぁ…」
すぐ目の前に、くりりとした、
パープルの瞳が、こちらを覗いた。
やや頬が赤く…唇の弾力まで見てとれた。
顔が近過ぎて、俺はドキッとする反面、
どこか冷静にもなれた。
「おっあ!!…は…はぁ〜い!!オッケ〜い!!!」
あっ……ぶねぇ!!!
完璧に、我を失っていた!!
フゥ〜ッ!!!
もう少しで、取り返しのつかない事になる所だった…
あぶね〜!!!
そこから更に気を引き締めて、
肉欲に耐えながら乗り越えた。
今日ばっかりは、自分を褒めてやりたいよ!!
「ああ…さっぱりとしたよ
ありがとうね」
ヒーリアは、服を着ながら、満足げにそう言うと
少し
「どれ…今度は私が拭いてやろうか?
座ったままでも、手伝えるよ」
ちょっと待て。
そりゃあ俺も、スッポンポンになれって事かい?
「あ〜それはいいよ…
自分でやるし」
「む。遠慮するなよ少年。
私にも少しやらせてくれ」
「いや!いいって……その、今は特に!!」
「なんだつれないじゃないか!
どれ!!服を脱いでみなさい!!」
ヒーリアは、俺のズボンをにぎってくる。
だが!そうじゃない!!
恥ずかしいとかもあるけど!!
それ以上に今は!!
「あぁ〜!!ちょっと!!!あ!!ああ!!!」
「え〜い!!
かんねんするんだ!!!」
「あちょ!ちょまっ!!!あっ────!!!」
そしてついに、俺のアキヒロさんが、
明宏さんの状態で「こんにちは」してしまった。
時が止まる。
みるみるうちに、ヒーリアの顔が赤くなり、
俺の顔も同じくらい真っ赤になった。
「わわわ!!お前!!どど!!どういうつもりだ!!
私はケガ人だぞ!!男性器を大きくさせる奴があるか!!!」
「いやぁあ〜!!見ないでくれよぉおおお!!!」
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