第44話

「アプローチされてる人がいるの。その人と付き合ったら、伊庭さんの事も冷静に見る事が出来るかな…… 」

「どんな人?」

「同じドラマで共演した佐久間愁」

矢野と絵里香は、都内のバーで飲んでいた。

2人ともロブ・ロイを傾けている。

「伊庭さんはまだ婚約者の事が忘れられず立ち止まっている。でも、今の絵里香もそうだ。いいと思うよ。前に進んだ方がいい」

絵里香は過密スケジュールの中でも、笑顔を絶やさない。

それは、矢野の力も大きかった。

どんなに忙しくても絵里香は、矢野と飲む時間だけは取っていた。

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