第38話

映画の成功を兼ねて、都内のバーで絵里香のバースデーパーティーが開かれていた。

「絵里香、誕生日おめでとう!」

友人達からプレゼントを渡され、全員で乾杯した。

もちろんその中には、矢野の姿もあった。

絵里香は白いノースリーブのワンピースに腰までのロングヘアーで輝いていた。

絵里香が友人達と楽しく談笑しているのを、伊庭は離れた場所から見ていた。

「誕生日おめでとう」

矢野が絵里香の方にやって来た。

「来てくれてありがとう」

絵里香はそういうと、矢野と話を始めた。


絵里香はいつの間にか伊庭がいなくなっているので、気になって屋上に上がった。

伊庭は一人で風に吹かれていた。

「伊庭さん」

絵里香にはこのパーティーを主催したのが伊庭だと分かっていた。

「主役が抜け出していいのか?」

絵里香は伊庭に抱きついていた。

「ありがとう…… 伊庭さん」

その姿を影から矢野が見ていた。

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