第34話
「絵里香……!」
伊庭が血相を変えてマンションにやって来た。
いつもの朝である。
絵里香はダイニングでトーストを齧っていた。
「おはよう。どうしたの?伊庭さん」
「聞いてください!遂に映画主演の話が来たんですよ!」
伊庭は興奮気味である。
「本当に⁈」
絵里香は目を丸くしている。
「おめでとう。遂に主演が決まりましたね」
伊庭はビジネスバッグから、台本を取り出
した。
絵里香は車に乗った瞬間に、早速台本を開いて貪るように読み始めた。
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