第21話

伊庭が警察署の中に入り、案内された部屋に入った時に見たものは変わり果てた婚約者の姿だった。

「恭子!」

伊庭は恭子が寝かされている台に駆け寄り、大声で名前を叫んだ。

「これは一体どう言う事ですか⁈何で恭子がこんな…… 」

「三原恭子さんは夜道を帰っている途中で男に襲われ、その衝撃で川に飛び込んで自殺したと思われます」

担当の刑事が淡々と言った。

伊庭は信じられなくて、何度も首を振り続け

た。

「嘘だ……!嘘だと言ってくれ、恭子!」

伊庭は恭子を揺すぶった。

冷たい。衣服が水に濡れていた。

そして伊庭がどれ程大声で叫んでも、もう二度と目を覚ます事はなかった。

伊庭は恭子にしがみ付いて泣き崩れた。

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